「密植・多間伐・長伐期」の育林方法
吉野杉の特徴である「満(末口と元口との太さの差が少ない)、通直(真直)、無節」は、「密植・多間伐・長伐期」の施業により作られています。
一般的な針葉樹は1ヘクタールあたり3000~5000本を植林しますが、吉野杉は1ヘクタールあたりに8000~12000本を間隔を密にして植え、1cmに8年輪以上になるよう木の成長をおさえて年輪幅を狭くします。
そして木の生長に合わせて何度も間伐を繰り返し、一般的には樹齢40~50年で伐採される期間を2倍程度の80年~100年まで引き延ばす工夫により、真っすぐな節の少ない美しい木目の木が産出されています。
品質認証への取り組み
国産材が敬遠されはじめたのは値段だけではありません。
グリーン材(未乾燥材)にみられる含水率のばらつきが大きいことや、曲がりや狂い、割れが発生しやすくいことから、住宅供給側がクレームになりやすい材を避けたいとの意向の高まりもありました。
今は乾燥技術が向上し、全国に大規模な国産材の製材工場も増加したことで、KD材(乾燥材)の普及が進み、強度を数値化する取り組みがなされています。
吉野杉は一般的な杉に比べて強く、たわみにくいという性質があり、その強度は特に問題とされてきませんでした。
しかしながら、吉野杉も例外ではなく強度を数値化する必要性が出てきましたので、奈良県森林技術センターで強度の目安となる木のたわみにくさを示す「ヤング係数」の調査を行ったところと、全国平均値E70の1.3倍のE90の結果がでるなど、強く・たわみにくい材であることが証明されています。
とはいえ、吉野杉は天然素材。全ての吉野杉が同じ強度や性能を持っている訳ではありません。 そのため奈良県地域認証材制度を設け、産地認証や、乾燥度合を示す「含水率」や「ヤング係数」の品質認証を行い、これらの品質基準を満たす木材を提供できる会社を登録業者としてを認定するなどの取り組みを行っています。
吉野杉だけではなく、各地で低コストで安定的に地域材を供給する取組みが行われるようになってきました。お住まいの地域材にも目を向けてみてはいかがでしょうか。