近年、お米や果物、お肉だけではなく、さまざまな農林水産物や食品の「地域ブランド化」の取り組みが活発です。注目をあびている「ふるさと納税」で、各地の特産物を新たに知ったという方も多いのではないでしょうか。
「地域ブランド」は素材を発掘して生産体制を整え、品質やブランド名の管理を行いながら販売をつづけて、ようやくお客様に認知されブランド商品と呼ばれるようになります。そしてブランドを維持し続けることはさらに難しく、一朝一夕にブランドは形成されません。
木材にもブランドがある!
木造住宅(木造軸組工法)の柱や梁、土台、床の間などに使われる木材には、「地域ブランド化」が叫ばれるようになる数百年も前から吉野杉・桧や秋田杉、木曽桧、床柱として有名な京都の北山丸太など、銘木といわれるブランド材があります。
現在、ブランド材といわれる国産材は、各地の気候、風土、地域の歴史などの背景の上に、先人たちが何百年、何十年と木を育て、山を守り続けた結果です。
例えばアニメ映画「もののけ姫」では、たたら場で鉄を吹いている場面がありました。たたら製鉄が行われていた地域の材木は、主に燃料として使われていました。燃料用の材木ですから約20年で伐採されていましたので、銘木を作る林業とは異なります。
全国の杉や桧が植林されている人工林の歴史それほど古くはなく、戦前までは材木の多くは薪や炭などの燃料に使われていましたので、戦後に植林された人工林も少なくありません。
花粉症の原因といわれている大量の杉や桧は、戦後に植林されたものです。戦後に林業に力をいれた地域もあれば、何百年も前から工夫を行ってきた地域もあり、国産材も一言では語ることができません。