IoTが住宅にもたらす変化
ここで、日本でスマートホームが普及していく方向性を考えてみたいと思います。
例えば、アメリカでスマートホームが注目された大きな理由には、背景に「防犯」に対するニーズがあったそうです。
日本ではどうでしょうか。防犯もさることながら、労働人口の減少によって、老若男女が分け隔てなく社会進出できる社会への変換が迫られており、同時に子どもや高齢者のケアをする施設や人員の不足は社会的な課題でもあります。
こうした背景を考えると、少子高齢化社会へのニーズ、特に共働き家庭の家事の効率化や子供や高齢者の見守りなどの観点でIoTが注目される可能性が考えられます。
例えば、スマートロックを利用すれば、仕事で不在の場合でも鍵の受け渡しに困ることなく、家事や介護を外部サービスに委託することができます。また、IPカメラを利用すれば、その様子をスマートフォンで確認することも可能になります。
ただ、家庭内の作業を外部に安心して頼めるようになるには、IoTの発展だけでなく、私たちの暮らしを便利にする安価なサービスの登場が求められます。
IoTとサービスの両方が発展していくと、これまで住宅の中にあった機能は外部化され、住宅は「外部サービスとプライベートな生活をつなぐ場所」に変化していくかもしれません。
例えば、昨年「宅配ボックスの売れ行きが好調」というニュースが話題になりましたが、これもその兆しを示す一例と言えます。
私たちは、amazonや楽天、zozoなどのウェブサービスとスマートフォンを利用することによって、いつでも、どこにいても買い物ができる便利さを手に入れました。
しかし、共働きで忙しく不在がちな家庭にとっては再配達の連絡をしたり、受け取り日時に在宅していなければならないという不便さが、また宅配サービス業者にとっては再配達コストの問題や重労働化という問題が生じました。