「次回は請負契約について」と書きましたが……
前回のコラムの末尾に、「次回はいよいよ請負契約についてお伝えできると思います」と書きましたが……まだでした。
絶賛、仕様を確定中ですが、全てが決まってから最終的な請負契約に進むことになりました。
実は、工務店との請負契約のタイミングには大きく2パターンあります。
標準仕様をもとに先に契約を結び、その後に詳細を詰めていくケースと、我が家のように設計や仕様の打ち合わせを十分に行い、最終的な建築費に合意してから契約するケースです。
我が家は後者のパターンで進めてきました。ショールームでの設備選定から仕様書の修正まで、丁寧に打ち合わせを重ねてきた結果が、これから出てくる見積もりに反映されるわけです。
こうして立ち止まってみると、「契約を待つ間にやっておくべきことがある」と気づきます。
今回は、お金のことと、請負契約書で確認しておきたいことを中心にお伝えしようと思います。
お金のことは、とにかく早めに動いておく
さて、請負契約を結ぶには、当然ながら資金計画が固まっていなければなりません。特に住宅ローンを利用する場合、まず「仮審査(事前審査)」を通過しておくことが、契約を進める上での大前提になります。
仮の図面と概算見積もりなど必要書類を提出し、我が家は住宅ローンの仮審査をすでに通過しています。
本審査は請負契約後に行うことになりますが、設備の選定や仕様の打ち合わせと並行して、金融機関への相談も早めに始めることをお勧めします。
併せて、住宅ローンを利用する場合、「住宅ローン控除」という制度も知っておく価値があります。
これは、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から最大13年間控除されるもので、条件によっては数百万円単位の節税効果になることもある制度です。
ただし、2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準への適合が控除を受けるための前提条件となっています。これから建てる家がどの性能グレードに当たるのか、早めに工務店に確認しておくと安心です。
詳しくは「所得税の住宅ローン控除」にまとめましたので、あわせてご覧ください。
「モノサシ」を握り直す
お金の準備と並行して、もうひとつ大切なことがあります。
それは、自分の中に「モノサシ」を持っておくこと。
前回のコラムでも触れましたが、家づくりでは「できません」と言わない工務店のもとで進めていると、希望をすべて形にしようとすれば際限がなくなります。
要望を叶えようとすれば、当然お金もかかる。どこまでを許容するか、その基準を自分の中に持っていなければ、打ち合わせのたびに判断が揺れてしまいます。
たとえば、外観のタイル・レンガ張りは一度コスト面からシンプルな素材に変える方向で進めていました。
ところが母が「やっぱりレンガ調がいい」と言い、結局、目に入りやすい場所だけに取り入れることになりました。
しかし、全面ではなく表から見える一部だけに取り入れます。色合いの希望も残しつつ、コストも抑える——これが我が家なりの落とし所でした。
削れるもの・削れないものを判断するには、我が家の場合「この家は誰のために、何のために建てるのか」というモノサシが役立ちました。
今回の建替えは、高齢の両親のため。特に、長い間身体の不調と向き合ってきた母が、残りの暮らしを安心して楽しく暮らせる家をつくる、それが私のモノサシの一つです。
請負契約の前に、そのモノサシを改めて握り直しました。
ただいま絶賛、荷造り中
6月半ばの仮住まいへの引越しに向けて、毎日ひと箱ずつ荷物を詰めています。……と、書いてはみましたが、正直なところ、まったく終わりが見えません。30年以上暮らした実家というのは、おそろしいものです。
母の嫁入り道具の桐箪笥。今の家が建った時、お祝いにもらったチロル家具。
私たちが小さい頃に買った、ファミリー向けのダイニングテーブル。
祖父母の家を解体した際に「もったいないから」と引き取った古いテーブルや茶箪笥、和食器、絵画、掛け軸、置物——。
しかも我が家は全員、ミニマリストとは真逆の「もったいない精神」の持ち主です。
使わない紙袋、お菓子の缶、本体のない家電の説明書がわんさか出てきます。
高齢の親あるあるとはよく聞いていましたが、そこに独立した弟が置いていった荷物まで加わって、我が家の荷物は三世代分の密度があります。
そんな中、気持ちが楽になる出来事がありました。古美術品を扱うお店の方に、古いものの処分のヒントをもらったのです。「古い油絵や掛け軸は最近の家のデザインに合いません。新しい家で気持ちよく始めるためには、本当に気に入っているものだけを残し、これを機に古いものを手放すのも一つの手ですよ」と。
少し前に断捨離という言葉がはやりましたが、その言葉は「ときめくか、ときめかないか」に通じるものがある気がしました。それ以来、棚の奥にしまいっぱなしだった食器は、気に入っているものを日常で使い始め、そうでないものは「さしあげます」の箱に入れて玄関先に置いたり、まとめて引き取ってもらったりしています。
父も5月末で動物病院を閉じる準備として、未使用の動物用食器を無料配布したり、古いカルテは書類の溶解サービスへ。
母もえっちらおっちらと食器棚の整理を続けています。新しい家に何が相応しいか家族で審議しながら、荷造り中です。
6月中旬までに家を空にして、不要なものを処分しきれるのか。チャレンジは続きます。
……そしてこの状況、実は「建替えあるある」のひとつです。
荷物の処分や整理が追いつかず、解体のスケジュールに影響が出てしまうケースは珍しくありません。
我が家も危うくそうなりかけたため、引越し業者に荷造りのオプションを追加で依頼中です。
自分たちの手に負えないと感じたら、整理収納アドバイザーや引越し業者といったプロの力を早めに借りることも検討してください。建替えを検討中の方は、荷物の整理、早めに始めておいて損はありません。
さて、6月20日には工務店の担当者が解体の下見にやってきます。
荷物がほぼなくなった状態の家を見て、解体費用を見積もってもらう予定です。長年暮らした家が、がらんとしていく。その光景を想像すると、少し不思議な気持ちになります。寂しいような、でも前に進んでいるような。
次回はその様子をお伝えできる予定です。
https://chumon-jutaku.jp/house-column/46590/【過去のコラムはこちらから】
【1】実家の建替えを決めた日
【2】家族の本音と、現実との折り合い
【3】ザ・ハウスの工務店マッチングサービスに申し込んだ日
【4】工務店マッチングサービス、二回目の電話で見えてきたもの
【5】工務店との面談開始(前編)
【6】工務店との面談開始(後編)
【7】工務店の候補を検討する
【8】工務店を最終決定する
【9】契約書にサインする日
【10】コーディネーターとして、施主として
【11】好みを伝え続けた先に、形があった
【12】体感して、確かめて、決めていく
【13】水回り見積もりと仮住まい準備、同時進行の日々



