木造の可能性を広げた法律の改正
木造建築の可能性を広げた法律が2つあります。
一つ目は、2000年に市街地の防火地域でも木造住宅(木造耐火建築物)の建築が可能となったこと。
2000年以前は、防火地域では2階建て、延床面積100平米までの木造住宅しか建てることができませんでした。建築基準法の改正により防火地域でも耐火性能を確保した建物であれば木造建築が可能になりました。これにより防火地域で3階建ての木造住宅が増えたのはもちろんのこと、大規模木造建築の可能性が大きく広がりました。
二つ目は、2010年に低層の公共建築物は原則、木造で建てる法律が施行されたこと。
耐火構造を必要としない低層の公共建築物については、「原則としてすべて木造化を図る」との目標をかかげ、木造率が低かった公共建築物を国や地方公共団体が率先して木材を利用して建てていく、そのために品質、性能のたしかな木材を供給するための技術や設備の支援をおこなうことが定められました。
なぜ、国が政策としておこなうのか?
日本各地には戦後に植林された人工林(スギ、ヒノキ、カラマツなど)が、60年~70年の時をへて利用可能な時期を迎えています。しかしながら、せっかくの資源である森林は、林業の後継者不足によって荒れ放題になっています。国産材の価格低迷により、林業は魅力的な仕事ではなくなってしまいました。
時代の求めにおうじて衰退する産業もあれば、新たに生まれる産業もあります。ですので林業が衰退するのも致し方ないともいえます。しかし、日本の森林面積の4割を占めるといわれる人工林が荒れて放置されれば、この影響は林業に携わる人、山間部に住む人だけの問題でなく、めぐりめぐって都市部に住む私たちの生活にも影響を及ぼします。
こうした社会的な背景があり、「木を積極につかい、森を育て林業を再生していく」ための法律がつくられました。