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街に森をつくる!?

大規模な木造建築を可能にした「集成材」

木造建築の新たな可能性を引きだし、大規模木造建築を可能としたのが「集成材」です。設計段階から強度を計算し長さ・太さを決定し製造しますので、性能を数値で表すことができる材で「エンジニアリングウッド」とも言われています。

厚さ2~5cmなどの一定の寸法に加工されたラミナ(ひき板)とよばれる木材を、繊維方向が平行になるように接着した「集成材」は、無垢材では加工できない大きな柱や梁、湾曲した形状の材など自由な形状に加工できます。このことにより広い空間が要求される大規模な建物でも木造が可能となりました。

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現在、建築中の新国立競技場の屋根部分にも国産のカラマツと杉の集成材が使われています。国産材の柱といえば1本の木から取り出し、つなぎ目のない無垢材をイメージされる方が多いと思いますが、集成材にも国産材で加工された材が増えてきました。

まだまだ集成材の原料は輸入材が多く、集成材の約65%が輸入集成材や輸入ラミナ(ひき板)です。一方で円安の影響などから海外からの調達コストが上昇したことや、国産材ラミナ(ひき板)の安定供給が進んできたことなどから、国産材をつかった集成材の生産量が増えています。

90年ぶりのリニューアルは木造で!

各地で国産材を使った中規模、大規模の建物が建築されていますが、私の身近なところでは東急池上線の戸越銀座駅(東京都品川区)の駅舎が木造で改修されました。

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2016年10月、約90年経過した旧駅舎の屋根の架け替えや、トイレの建て替え、駅舎の内外装には東京都の多摩地域で生産された杉が使われました。

鋏(シザース)のように木と木を噛み合わせて織り上げられた木造シザーストラス構造がつかわれた屋根は、迫力満点、力強さを感じます。木造の駅舎は屋根はもちろんのこと、壁やベンチにも木が使われており、都会にありながらどこか懐かしい雰囲気で故郷の駅舎を思い出しました。

鉄やコンクリートで造られた建物の良さや美しさはもちろんありますが、木が醸し出すあたたかな柔らかい雰囲気は木造ならではの味わいです。

今はまだ新築時の木の色でしたが、年月が経過するにつれて日に焼けてあめ色が濃くなり趣のある雰囲気に変化していくことでしょう。

一見、街と山がかかえる問題は異なるように思われますが、繋がっています。街に木のぬくもりに溢れた木造建築が増えるとコンクリートジャングルの街も変わり、日本各地の森林も再生していきます。

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