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狭小地で建てる!間口5mでも広く暮らす間取り術。

「この土地で、本当に快適に暮らせるの?」

H様ご夫婦(30代・お子様2人)は、ご実家から相続した都心の狭小地に家を建てる計画を進めていました。土地は間口5m・面積18坪。数字だけ見ると「狭い」「無理そう」と感じる方も多いかもしれません。

でも、H様は「この場所で、家族4人がのびのび暮らせる家をつくりたい」と強く願っていました。

最初にぶつかったのは、「3階建てにすれば部屋数は確保できるけれど、階段や廊下で居住空間が想像以上に削られる」という現実。さらに奥様は「子どもが小さいうちはいいけれど、将来、階段の上り下りが負担になるのでは?」と不安を口にされました。

一方、ご主人は「リモートワーク用の書斎はどうしても欲しい」と譲れない希望もありました。ただ、完全に個室でこもるのではなく、「家族の気配を感じながら、孤立しすぎない場所で働きたい」という思いも強く、理想と現実のすり合わせが始まりました。

失敗しない!狭小住宅のポイント3つ

   ・空間の“つながり方”を重視する

   ・収納は“生活動線の中”に組み込む

   ・「今」と「これから」のバランスをとる

「屋根裏収納庫」か「スキップフロア」か

H様が相談した工務店からは、限られた空間を最大限に活かすための2つの提案がありました。

A. 屋根裏収納庫を設ける

  • メリット:生活空間を最大限に活かせる。季節用品や非常用ストックなど、普段使わないものをまとめて収納できる。
  • デメリット:天井高や構造の制約があり、使い勝手に工夫が必要。はしごや階段の昇降が負担になることも。

B. スキップフロアで空間を分ける

  • メリット:半階ごとの段差で階段が短く、移動の負担が少ない。視線の抜けができ、狭さを感じにくい。
  • デメリット:収納スペースは限られる。家具の配置に工夫が必要。


収納力を重視するか、暮らしの動線と居心地を優先するか——ご夫婦で何度も話し合いを重ねた結果、「家族との距離感を保ちつつ、仕事にも集中できる空間」として、スキップフロアを採用することになりました。

「2帖の書斎」が、家族の距離をちょうどよく保つ

完成した間取りでは、2階リビングの一角にスキップフロアを設置。ここをご主人のリモートワーク用書斎コーナーにしました。

わずか2帖ほどの空間ですが、天井が吹き抜けにつながっているため、数字以上の開放感があります。仕事の合間にリビングから子どもたちの声が届き、「家族の気配を感じながら働ける」という、ちょうどいい距離感が生まれました。

ただし、ご主人のお仕事にはオンライン会議や電話対応が必要な場面もあるため、そうした時には寝室を一時的なワークスペースとして使うという柔軟な運用に。「普段はリビング近くで、必要な時だけ静かな場所へ」というスタイルは、H様ご家族にとって無理のない働き方となりました。

「収納が足りない」を、スキップで解決

スキップフロアの下は、子どもたちの学用品やシーズンオフの家電をしまえる収納スペースに。狭小地で不足しがちな収納を、空間を無駄にせず確保できたのは大きな成果でした。

また、奥様が心配していた「老後の階段問題」についても、半階ずつの移動であれば「これなら年齢を重ねても対応できそう」と納得。“今”と“これから”の暮らしを両立する設計が実現しました。

マッチングコーディネータの視点!

狭小地の家づくりでよくあるのが、「図面上では部屋数が足りているのに、実際は動線や収納で不便を感じる」というケース。

工務店に希望を伝えるときは、

  •  ・「何部屋ほしいか」だけでなく
  •  ・「どんな時間を、どこで、どんなふうに過ごしたいか」
  •  ・「将来の暮らし方をどうイメージしているか」

を整理しておくと、提案の幅がぐっと広がります。

また、スキップフロアや屋根裏収納庫のような空間活用術は、「自分たちに使いこなせるか」を基準に選ぶことが大切です。便利そうに見えても、動線のストレスがあると、長く快適には暮らせません。

「狭小地だから」とあきらめるのではなく、“どう暮らしたいか”を軸に考えることで、土地のポテンシャルは最大限に引き出せる。H様の事例は、そんな家づくりのヒントをたくさん教えてくれます。