風趣を添える住まいの折々

2018年7月7日

窓の役割

川村 利恵

ザ・ハウス マッチングコーディネーター

1969年、埼玉県出身。住宅業界歴20年。アトリエ系設計事務所、不動産会社の企画部門に勤務の後、2007年に(株)ザ・ハウスのマッチングコーディネータに就任。二級建築士と福祉住環境コーディネータの資格を持ち、特に建築家との家づくりに関して豊富な実績がある。これまで796組の相談実績を有し、195邸の家づくりに携わる(2017年10月末現在)。

筆者

川村 利恵

窓には様々な役割があります。光を取り込む、風を通す、景色を楽しむ。インテリアのデザインや外観の印象、もっと大枠で言うと街並みの印象にも影響を与えています。

例えば、海外の街を歩いていて「美しい街並みだな」と感じるときには、必ず窓のデザインがあります。

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それは小さな窓だったり、丸かったり、連窓だったりと様々ですが、どこまで歩いても続く無秩序な窓まわりは、いつしか独特な風景として、見る側に街並みの統一された印象を与えます。

日本の窓の今と昔

日本の窓まわりは、デザインよりも機能性、例えば気密性、ガラスの種類、耐久性、防犯性などに特化したものが多いと言えます。言い換えると、機能を重要視している工業製品の窓は多いのですが、家の印象や街並みを意識したデザインの窓はまだまだ少ないと言えます。

現在の日本の街並み、とりわけ新興住宅地などは建売住宅やメーカーによる企画住宅の街並みと言ってもいいほど工業製品の住宅が供給されています。そしてその多くが製品化された既製の窓が南面に取り付けられています。

屋根の形や外構のデザインが優れている家もたくさんあるのですが、道を歩く人の目線の高さには同じようなサイズ、無味乾燥な既製のアルミサッシュ(窓)があるため、街並の印象も変化のない(デザインのない)景色に写ってしまうのです。

住宅の工業製品が今ほど普及していなかった時代には、木製枠の掃き出し窓が主流で、庭(外)と廊下(内)を繋いでいました。

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私の生まれ育った家も同様のつくりでしたが隙間風はあたりまえ、冬には祖母と一緒に戸袋から出した木製雨戸を何枚も設置した記憶があります。工業製品にはない不便さもありましたが、作り手のこだわりが見え隠れする窓は愛着をもってメンテナンスされていました。そんな窓が連なる街並みを思い返すと、今よりも赴きある温かな統一感があったように思います。家のつくりや街並みも大らかな時代でした。

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作り手のこだわりと言えば、腕のいい職人さんが窓の桟をデザインする「組子」という技法で障子や欄間などを飾る方法があります。

デザインされた組子は綺麗な線を浮かび上がらせ、室内の印象を、外からの建物の雰囲気を品のある上質なものにします。

現在では職人さんも減り見る機会も少なくなりましたが、建築家が手掛ける住宅では自ら組子をデザインし、美しい和室やリビングの窓廻りを演出します。