防火地域・準防火地域の目的
防火地域・準防火地域は、建物の防火性能を高め、火災の延焼を抑えることを目的として都市計画法で定められており、これらの地域では、建築基準法による建物の構造や材料の制限が設けられています。
なお、計画地がどの地域に指定されているかは、役所にある都市計画図で確認することができます。
防火地域
防火地域は、主に住宅密集地や商業地などの市街地の中心部、その他、広域避難場所や災害地の避難路となる幹線道路沿いなどに指定されます。
防火地域では、建物の構造に一定基準以上の制限が設けられており、防火地域で建物を建てる場合には、地階を含む階数が3以上、または延べ床面積が100平米を超える建物は鉄筋コンクリート造などの耐火建築物としなければなりません。
それ以外の小規模な建物でも、耐火建築物もしくは準耐火建築物にしなければなりません。
木造による耐火建築物
これまで防火地域内で木造住宅を建てる場合には、100㎡以下、または階数が2階建てまでと制限がありました。2000年に改正された建築基準法により木造でも、階数が3以上、または延べ床面積が100平米を超える建物も耐火建造物の基準を満たせば建設が可能となりました。
準防火地域
準防火地域は、防火地域に準ずる市街地の周辺部や比較的建物の密集度が高い地域で指定され、防火地域よりも緩やかな規制になっています。
地階を除く階数が4以上、または延べ床面積が1500平米を超える建築物の場合は耐火建築物とし、地階を除く階数が3、または延べ床面積が500平米を超え1500平米以下の建築物は耐火建築物または準耐火建築物としなければなりません(500平米以下の延べ床面積であって、防火上の技術的基準を満たしていれば木造でも可)。
なお、木造建築物等の場合は、隣地から一定の距離内で延焼の恐れのある部分の外壁や軒裏は防火構造とすることが定められています。
法22条区域(屋根不燃化区域)
防火地域や準防火地域の他、特定行政庁が指定する「屋根不燃区域」においては、屋根を不燃材料の瓦、彩色セメント系スレート板(カラーベストコロニアル)などとするか、または不燃材料で葺く必要があります。(建築基準法22条)。
適用地域と制限の内容
上記の適用地域における制限の内容をまとめると下記の表のようになります。
表:適用地域と制限の内容
準防火地域における耐火・準耐火建築物の建ぺい率の緩和
2019年6月に建築基準法が改正され、準防火地域の耐火・準耐火建築物の建ぺい率が10%緩和されました。