2017年7月に福岡県と大分県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨で大規模な土砂崩れがおき、甚大な被害が発生したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
約20万トンの大量の流木が川に流れ込み川をせき止めたり、流木が住宅をのみこむなど、被害が拡大しました。さらにこの流木は、救助や復旧活動のさまたげにもなりました。
これほど多くの流木が発生した原因は九州北部特有の崩れやすい地質にもありますが、森林の手入れ不足も指摘されています。このような被害が発生するおそれがある森林が日本各地にあります。
森と水の関係
都市部の地表はコンクリートやアスファルトに覆われ、雨が降るとほとんど土にはしみ込まずに下水道や川から海に流れ出します。しかし森林では雨水がゆっくりと森の土の中にしみ込み地下水となり、ゆっくりと少しずつ川に流れていきます。そして、森の土にしみ込む間に空気中の汚れが取り除かれ、きれいな、おいしい水になっていきます。
本来の森林は、水を貯めるダムの機能と、水をろ過する浄水機能を持っています。
しかし手入れがされず放置された人工林は、都市部の地表と同じくダムや浄水機能を失い、ひとたび集中豪雨にあうと被害をひろげます。
人工林は人が苗木を植えて育てる森林で、木を真直ぐに育てるために一定面積内に多くの苗木を植え、木の成長にあわせて数年ごとに間伐をくり返します。間伐が進まない放置された人工林は太陽の光が入りづらく、木が地面にしっかりと根をはることができないため、強風や大雨が発生すると倒れやすくなり、山崩れや洪水などの原因となります。木が倒れ、山崩れが起きるなど人工林が荒れると森の土が浄化し育んできた水質の悪化にもつながり、川や海にも悪影響を及ぼすことにもなりかねません。
日本の森林面積の4割を占めるといわれる人工林が荒れて放置されれば、この影響は山間部に住む人だけの問題でなく、めぐりめぐって都市部に住む私たちの生活にも影響を及ぼします。
家を建てるにあたっては、お住まいの地域材にも目を向けていただくと放置される人工林が減るかもれません。