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「庭で子どもたちとテントを張って、焚き火を囲みながらご飯を食べたい」
そう楽しそうに話してくださったのは、Y様ご夫婦。小学生の娘さんと息子さんの4人家族です。
アウトドアが大好きなY様ご家族が目指したのは、“家でもキャンプ気分を味わえる家”。
理想を盛り込みながら、土地の制約や近隣環境とのバランスをとり、最終的にたどり着いたのは、ウッドデッキで楽しむ“おうちアウトドア”の家でした。
ウッドデッキで楽しむ「おうちアウトドア」の家で建てるヒント3つ!
・家でキャンプ気分を味わうためのウッドデッキ活用術
・住宅街でアウトドアを楽しむための工夫と現実的な落としどころ
・アウトドア志向の家づくりが得意な工務店の選び方
「庭でキャンプしたい!」から始まったY様の理想プラン
Y様ご夫婦は40代前半。共働きで、休日にはキャンプや登山を楽しむアウトドア派です。
ただ、お子様が小学生になってからは、週末の遠出が難しくなりました。「家でも自然を感じる時間をつくりたい」「子どもたちとテントを張れる庭がほしい」そんな思いから、注文住宅の計画が始まりました。
打ち合わせの初回、Y様がノートに書き出して持ってきた希望はまさに“夢のアウトドアリスト”。
・庭で焚き火やBBQをしたい
・テントを張って“おうちキャンプ”をしたい
・外で洗い物ができる簡易シンクがほしい
・子どもが友達と外で遊べるスペースを確保
・夏はプール、冬は星空観察をしたい
どれも魅力的なアイデアでしたが、計画地は駅から徒歩10分、住宅が密集する40坪弱の敷地。隣家との距離が近く、駐車スペースも限られています。「理想は大きいけれど、現実にはどこまでできるのか?」というのが最初の課題でした。
限られた土地で“外を楽しむ”ための工夫
Y様がマッチングで出会ったのは、「屋外空間を活かす設計」に強い工務店。打ち合わせを重ねる中で、現実的な制約と理想のバランスをどう取るか、丁寧に整理していきました。
設計士がまず提案したのは、「焚き火をやるよりも、デッキを暮らしの中心にして“焚き火気分”を演出する家にしませんか?」という提案。
実際に焚き火を行うと、
・住宅が密集しているため、煙や匂いが近隣に届きやすい環境であること
・自治体のルールや防火基準によって、焚き火の扱いに制限が設けられている場合があること
・準備や火の管理、片付けまで含めると、想定以上の手間と安全配慮が必要になること
これらの理由から、Y様も「無理にやるより、気軽に楽しめる形がいい」と考え直されました。そして辿り着いたのが、リビングと一体化したウッドデッキ中心のプランです。
ウッドデッキが家族の“キャンプサイト”に
デッキはリビングの南側に面し、室内と段差のないフラット構造。床材には耐久性の高い人工木材を使用し、雨の日でも滑りにくい仕上げにしました。上部には深い軒とタープフックを設け、日差しや雨を避けながら外で過ごせます。
さらに、デッキ横には
・ステンレス製の屋外シンク
・簡易テーブルとしても使える収納ベンチ
・夜に柔らかく光る間接照明
を設置。「火は使えなくても、ランタンを灯せば十分キャンプ気分!」とY様。子どもたちは週末になると、デッキにテントを張って“おうちキャンプ”を楽しむのが恒例になりました。
マッチングコーディネータの視点!
“できない”を“別の楽しみ方”に変える提案力が鍵。このY様邸のポイントは、「理想を諦める」ではなく「形を変えて実現した」ことにあります。住宅街では焚き火やBBQの制約があっても、設計力次第でアウトドアの雰囲気を十分に楽しめるのです。
私がこれまでに見てきた中でも、うまくいった家には共通点があります。
・外構と建物を一体で設計していること
・昼夜の過ごし方までシミュレーションしていること
・ご家族の“理想の時間”を具体的に描けていること
Y様の場合も、「夜のランタンの明かりで過ごしたい」「子どもと朝食を外で食べたい」という明確なイメージがあったからこそ、設計が具体的に進みました。
暮らし始めて変わったこと
完成から半年後、Y様にお話を伺うと、こんな言葉が返ってきました。
「キャンプに行く回数は減りましたが、“外で過ごす時間”は確実に増えました。朝、コーヒーを飲みながら風を感じたり、子どもが宿題をデッキでやったり。夜は照明を落として、外で家族だけの時間を過ごすのが日課になりました。」
焚き火をしなくても、家の中に“自然を感じる時間”がある——それがY様がたどり着いた“理想の形”でした。
焚き火を諦めても、“外を楽しむ家”はつくれる
住宅街では、「煙」「匂い」「安全性」の面から焚き火を取り入れるのは難しい場合が多くあります。しかし、ウッドデッキや照明、植栽の工夫で“焚き火以上の居心地”を生むことができるのです。
Y様のように、
・家でも自然を感じたい
・子どもと一緒に外で過ごす時間を増やしたい
・住宅街でもアウトドア気分を味わいたい
そんな思いをお持ちなら、設計段階でそのライフスタイルを理解してくれる工務店を選ぶことが何より大切です。