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海外生活の“当たり前”を日本の家にも取り入れたい
今回ご紹介するのは、海外駐在経験が長く、帰国後も「海外の暮らしやすさ」を日本の家に取り入れたいと考えていたM様ご家族(40代・東京都)の事例です。
求めていたのは、単なる広さではなく、ライフスタイルそのものの再現でした。
・靴やコートを大量に収納できる機能的な玄関
・海外サイズの大型冷蔵庫やオーブンに対応したキッチン
・パントリーを“標準装備”として扱える動線
・一室一灯ではない、陰影を楽しむ雰囲気のある照明計画
日本の一般的な間取りや仕様のままでは実現が難しい、国際派家庭ならではのテーマをどう形にするかが課題となりました。
後悔しないために知っておきたい4つのこと
1.靴・コートの“量”を基準に玄関収納を設計する
2.大型家電の寸法と搬入経路を先に決める
3.パントリーは“動線の一部”として考える
4.多灯分散(ライティング・レイヤー)で光の重なりをつくる
靴・コート・大型家電・光の質がつくる国際派家庭のジレンマ
M様ご家族は、アメリカと北欧での生活経験があり、日本の住まいに対して以下のような違和感を抱いていました。
・収納の不足: 家族4人で約60足の靴と、ボリュームのある冬用コートが収まりきらない。
・家電のサイズ: 幅90cm以上の大型冷蔵庫や、七面鳥が焼けるサイズのオーブンを使いたい。
・照明の文化: 天井中央に大きなシーリングライトを一つ付ける日本のスタイルでは、夜の安らぎが得られない。海外のように、スタンドライトや間接照明を組み合わせて、空間に奥行きを出したい。
しかし、都市部のコンパクトな敷地では、これらを盛り込むとLDKが圧迫されたり、照明用のコンセントが足りなくなったりといった「文化の違い」によるジレンマが発生しました。
土足文化寄り収納か、通常土間+WIC拡張か──検討した選択肢は2つ
A:土足文化寄りの広い玄関 + 多灯分散の照明設計
メリット:
・靴・コートを玄関で完結でき、海外の生活動線に近くなる。
・ダウンライトや壁面照明に加え、置き型ランプを多用することで海外住宅の空間になる。
・大型ベビーカーやアウトドア用品も置きやすい。
デメリット:
・玄関が広くなる分、他の部屋の面積が圧迫される
・置き型照明のために、壁面のコンセントを通常より多めに配置する必要がある。
B:通常の玄関+WIC(ファミリークローク)を拡張する
メリット:
・玄関はコンパクトに保ち、生活感のあるコート類を室内側で管理できる。
・動線を工夫すれば、帰宅後の「脱ぐ・しまう」がスムーズ。
デメリット:
・靴の収納量は工夫が必要
・外出前の動線が長くなる場合がある
M様は当初「WICを広げればいい」と考えていましたが、靴の量と大型家電の導入を考えると、玄関側に収納を寄せたほうが現実的という結論に近づきました。
マッチングコーディネータの視点!
国際派家庭の家づくりでは、「日本の標準」と「海外の標準」のギャップをどう埋めるかが重要です。
工務店に要望を伝える際は、次の3点を整理すると提案の精度が大きく上がります。
・海外で“当たり前だったこと”を具体的に伝える
→靴の量、コートの量、家具家電のサイズなど
・大型家電の搬入経路と、置き型照明用のコンセント計画
→特に照明は、おおよその家具配置とともにコンセント配置もしておかないと、コードが露出して残念な結果になってしまいます。
・収納は“量”ではなく“使い方”で伝える
→「週1まとめ買い」や「玄関で靴を脱いでそのままコートを掛ける」など、具体的なシーンを提示する。
これらを整理して伝えることで、
「大型家電の設置経験が豊富な工務店」
「ライティングデザイン(配灯計画)に長けた工務店」
「玄関収納の造作が得意な工務店」
「パントリー動線の設計が得意な工務店」
など、テーマに合った工務店をマッチングしやすくなります。
M様が選んだのは「広め土間+収納壁+大型家電対応+多彩な照明プラン」
最終的にM様は、
・玄関を広めに取り、壁一面をシューズ&コート収納に
・キッチンは大型冷蔵庫と海外製オーブンに対応した寸法で設計
・パントリーは玄関→キッチンの動線上に配置し、買い物帰りがスムーズ
・土間は断熱強化し、湿気対策のため換気計画も調整
という計画を選ばれました。
これにより、海外生活で慣れ親しんだ“収納と動線の感覚”が再現され、
「日本の家でもストレスなく暮らせる」と大変喜ばれていました。
“広さ”より“使い方の基準”を決めることが大事
国際派家庭の家づくりは、
単に収納を増やすだけでは不十分です。
「どれだけの量を、どのタイミングで使うのか」
「どの家電を、どの動線で使うのか」
「海外で当たり前だった生活の基準は何か」
これらを整理することで、
日本の家でも海外の暮らしやすさを再現できます。
靴・コート・大型家電・パントリー、そして照明。この5つを軸に計画することで、
国際家庭にフィットする“海外ライフに馴染む家”が実現します。
