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別荘×民泊の併用設計|来客動線とプライバシー確保

オーナー動線とゲスト動線を分離したい

今回ご紹介するのは、「普段は家族で別荘として使いながら、使わない週末は民泊として貸し出したい」と考えたS様ご夫婦(長野県・30代・未就学児2人)の事例です。別荘×民泊という併用住宅では、オーナー動線とゲスト動線をどう分けるかが大きなテーマになります。

特に、

・玄関を2つにするか
・鍵管理をどうするか
・清掃動線をどう確保するか
・生活音がゲストに伝わらないか

といった点は、土地選びの段階から検討が必要でした。

後悔しないために知っておきたい3つのこと

1.オーナー動線とゲスト動線を分けるための間取りと敷地形状の関係
2.玄関2系統・鍵管理・音配慮など、民泊運用に必要な設備のメリット・デメリット
3.清掃・荷物搬入など、運用時の“裏動線”をどう確保するか

玄関2系統、鍵管理、清掃動線、音配慮のジレンマ

S様は、自然豊かなエリアにある傾斜地の土地を検討していました。建物を道路側に寄せれば眺望が確保できますが、ゲスト用の玄関スペースが取りづらくなります。逆に、玄関を2系統にすると建物のボリュームが増え、コストが上がる懸念もありました。

さらに、民泊運用を考えると、

・ゲストが自由に出入りできるスマートロックの導入
・オーナー私物を保管する“非公開エリア”の確保
・チェックアウト後の清掃動線
・子どもの生活音がゲストに響かない配置

など、通常の別荘計画よりも検討すべき項目が多くなります。

「別荘として快適に過ごしたい」
「民泊としてもストレスなく運用したい」

この2つを両立するためには、動線の分離と、必要に応じて切り替えられる仕組みの両方が欠かせませんでした。

併用固定プランか?、可変(開閉)プランか?検討した選択肢は2つ

A:併用固定プラン(完全に動線を分ける)
メリット:常にプライバシーが守られる。運用時の混乱が少ない。
デメリット:建物コストが上がる。使わない空間が生まれやすい。

B:可変(開閉)プラン(必要な時だけ動線を分ける)
メリット:家族利用時は広く使え、民泊時はプライバシーを確保できる。
デメリット:可動式の建具や鍵管理など、計画段階での調整が必要。

S様は当初「完全分離」を希望されていましたが、「別荘利用時に空間が狭く感じるのは避けたい」と考え、可変プランを検討することになりました。

マッチングコーディネータの視点!

これまで多くの相談を受けてきて感じるのは、“民泊として貸すときの動線”だけを考えてしまい、オーナー自身の使い勝手が後回しになってしまうケースが多い、ということです。ご要望を次のように整理すると、「工務店選びの精度」と「提案の精度」が大きく上がるはずです。

①「オーナー動線」と「ゲスト動線」を具体的に書き出す
・どこから入り、どこを通り、どこを使うのか
・ゲストに見せたくない場所はどこか

これを言語化しておくと、工務店側も動線計画を立てやすくなります。

②運用時の“裏動線”を想定しておく
・清掃スタッフの出入り
・リネン交換のルート
・ゴミ出しの動線

民泊運用では、オーナーが現地にいないケースも多いため、裏動線の整理は必須です。

③鍵管理と可変部分のルールを決めておく
・スマートロックの導入
・オーナーエリアの施錠
・可動パーティションの開閉ルール

これらを事前に整理して伝えることで、工務店は「運用を前提とした設計」がしやすくなります。

マッチングコーディネータとしては、施主ご自身で整理しきれないご希望を“施主の目線で整理、言語化”し、適切な工務店に橋渡しすることが最も重要だと考えています。

S様が選んだのは「玄関2系統+可変式パーティション」

最終的にS様は、

・ゲスト用の独立玄関
・オーナーエリアとの境に可変式パーティション
・清掃スタッフが使える裏動線

を組み合わせたプランを選択されました。
これにより、

・家族利用時は広々とした別荘として
・民泊運用時はプライバシーを確保したゲスト空間

として、柔軟に切り替えられる計画になりました。

併用”だけでなく“使い方の切り替え”を描くことが大事

別荘×民泊の併用住宅は、単に空間を分けるだけでなく、「誰が・どんな頻度で・どんなタイミングで使うのか」を整理することが重要です。

動線、鍵管理、音配慮、清掃ルートまで含めて計画すれば、オーナーにとってもゲストにとっても快適な空間が実現します。