全開放の窓は一見気持ちよさそうですが、よく考えると虫が入るのでNGですし、蚊は不眠のもとになるので家には入ってほしくありません。そうなるともはや大きく開放的な窓は私にとって必要なくなり、それに代わる風の抜ける窓、光の入る窓が必要になります。
窓の方位も南側でなくてもいいと思っています。北側の窓から見える木々は、南の太陽を受けて、いつ見てもキラキラしていて癒しをもたらしてくれます。安定した光の入る北側窓の位置、大きさのほうが私にとっては重要度が高くなります。
敷地も東南角地でなくてもよくなりますし、形も気になりません。むしろ敷地の周辺環境となる空を遮る高い建物があるか、緑は望めるかが、私にとっての敷地選びで重要なポイントになります。
「いい家=〇〇と言われているから」という固定観念をひとつずつはずしていくと、本当の自分にとって叶えたいコトが残っていきます。
建築家の職能
建築家の職能ははひとりひとりが望むコトをヒューマンスケールで実現していくことだと思います。だからこそ、違う形になり、住まい手にとって心から満足できる家となります。
友人の家に行って「この家いいな」と感じたら、それは窓が大きいからではなく、天井が高いからでもなく、面積(体積)、窓の位置、家具の位置や色など、全てのバランスが良かったからかもしれません。その良さが住まい手の方と共感できるポイントだったのかもしれません。
建築家の家を訪れた人が「全体的には好きだけれど、ここの部屋割りが私には抵抗感があった」などの感想を持たれる場合があります。
それこそが、建築家の家なので、その言葉を聞くと安心感を覚えます。
人それぞれ違う家、住まい手だけが心から良かったと感じられる間取りだからです。
昨今の夏の暑さは誰にとっても不快です。そういった、どなたにとっても不快、不必要な要素は建築家は徹底的に検証して解決していきます。その先にある「他の人は違うかもしれないけれど、私はこう思っている」ということをぜひ建築家と実現してほしいと思います。それこそが建築家との家づくりの醍醐味です。
固定観念を取り払いながら、本当に望む家についてご家族で考えてみるのもきっと楽しいプロセスになり、自分だけの心から満足できる家づくりに繋がると思います。