暮らしに似合う色
インテリアの色は、少し暗めのトーンになっています。
ベースの色にも紫や焦げ茶色など濃い色が多いので、窓の外に見えるグリーンの色がより印象的に。
西久保さん「屋内はあまり明るすぎないほうが、逆に気持ちが外と繋がっていくような体験を感じられるんじゃないかな。」
テラスへの出入り口の手前には、吹き抜けにそってベンチも作られています。
季節の移り変わりもゆったりと感じられそうですね。
吹き抜けに吊るされたペンライトや、階段に付けられたライト、壁に付けられた裸電球などのインテリアもさりげない明かりが、おうちにとてもよく似合っています。
西久保さん「神社などに行くと、中が暗い分、お庭や緑がより目に入ってくるのと似たような体験だと思います。」
風通しのいい水回り
3階に上がると、気持ちの良い風が吹いているのが感じられます。
そして、採光もちょうど良い具合の素敵なお風呂と洗面・脱衣室。
木造の3階建て住宅では、水の処理の問題等でユニットバスになることも多いなか、素敵なタイルが貼られています。
浴室はテラスとも繋がっていて、お子様のプール遊びにもぴったりですね。
小さな窓から街の様子も伺い知ることができます。
制限を活かす、小さな和室
さらにもう1つ、3階にも「謎のスペース」があり、洗面・脱衣室からしか入れない小さな和室があります。
湯上がりコーナーとしてもぴったりな、ごろごろしたくなる畳の空間です。
実はこのおうち、住宅が密集する地域のため、建築に関する制限も厳しいなか建てられており、この和室の屋根が斜めになっているのは北側斜線制限によるものです。
そのため和室の一番天井の低いところは60cmほど。
西久保さん「なにも使わないより、和室だったら座っていられるから。低いところがあっても良いと思ったんです。」
浴室と繋がっているテラスが見える窓もあり、畳や木の色も明るく、圧迫感がありません。
ちなみに、西久保さんがいろいろなおうちを建てられてきた中で、こうした余った場所が、実は一番素敵な場所になったりすることがよくあるんだそうです。
さらに障子部分を開けると、2階のファミリークローゼットと繋がっているのがわかります。
設計時は、3階で干した洗濯物をそのままクローゼットに落とせばいいんじゃないか、などというお話もあったりなかったりだったそうですが(笑)
この窓によって、立体的にも風が抜けるようになっています。
またこの天井と壁部分は、1階と同じ和紙作家ハタノさんの和紙を、施主さまたちとみんなでちぎりながら貼られたそうです。
西久保さん「何でもプロに頼むより、少しでも自分たちでやっておくと、また剥がれたら貼ればいい、となりますよね」
家のメンテナンス術も覚えられて、家への愛着もより一層になりますね。
住み方を変えていく家
設計時はご夫婦お二人だったという施主さま。
建築中にお子様が産まれたそうですが、個室を多めに、いろいろな使い方がしていけるように作られています。
西久保さんは「家づくりのつぼノート」というご本を出されていますが、おうちを設計されるとき毎回「つぼノート」というものを作られています。
「つぼノート」は施主さまに、ご家族の好きなものを詰め込んでもらうスクラップブック。
西久保さん「リビングが何畳とかではなく、そもそもどういうものが好きなのか、どういう暮らしが好きなのか。こうして見てみるとわかりますよね。」
なかなか言葉で伝えるのが難しいところですが、今回の「つぼノート」を覗かせていただくと、お料理のお写真がたくさん。
食べることが好きなんだな=ダイニングを楽しい空間にしよう、と西久保さんの設計に反映されていることがわかります。
施主さまの好きなもの・好きな暮らしを実現しつつ、街や季節、時間とともに住み方が変わっていく家。1日1日を大切に過ごせそうな、とっても素敵なおうちでした。
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