ハッピーエンドの処方箋

2018年6月16日

私道掘削の承諾

近隣とは仲良くしておきましょう

山本 剛

ザ・ハウス マッチングコーディネーター

1967年、岡山県出身。宅地建物取引士。工務店、ハウスメーカーで営業マネージャーを勤めた後、(株)ザ・ハウスのマッチングコーディネータに就任。 住宅業界に23年間従事し、工務店、大手ハウスメーカー勤務時には営業担当者として200棟以上の住宅に関わる。

筆者

山本 剛

家づくりにおいて、全く予想しないところから、トラブルが発生することがあります。
お客様と建築会社との間でのトラブルだけでなく、ご近所も要注意です。

実際のお話

●変わった方でした

確かに着工前の近隣挨拶時に、これはやばいと感じました。

その近隣は、計画地から私道を挟んで5軒程度はなれた先にありました。
いつもだと近隣挨拶を行う範囲ではないのですが、ご近所で顔が利く人、とのこともあり、一応挨拶はしておこうとなりました。

大きなお宅で、門から家までちょっと距離があります。立派なお庭があるお屋敷です。

門で呼び鈴を押すと、奥様が門まで出てきてくれました。こちらは、お施主様とそのお母様(かなり高齢です)、現場監督と私の4人です。

お施主様よりご挨拶をしたところ、奥様は「主人がいるので待っててください」と一旦家に戻りました。

待っていると、奥様が椅子を持ってきてくれました・・・?
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もうすぐ主人が出てくるので座って待っててくれとのこと、立ったままのお母様に気を使ってくれたようです。

とは言え、なぜご主人はすぐ出てこないのか不思議な気もしましたが、親切な奥様だ、という印象でした。

しかし、なかなかご主人は出てきません。そのうちなんとなく、おかしいな? と感じ始めました。奥様とご主人が、どうも言い合っている様子が伝わってきます。

しばらく待った結果、ご主人は現れましたが、門まで出てくることはありませんでした。玄関で「挨拶は結構!」と一言。そしてそのまま引っ込んでしまいました。奥様もバツが悪そうで、手土産も受け取ってもらえませんでした。

●一体なんのことやら・・・

その後、日を改めて挨拶に伺いましたが、お話はできませんでした。

後々、道路掘削の許可をもらわないといけないので、現場監督に足繁く通ってもらうこととし、なにはともあれ工事は開始です。

しばらくは警戒をしていましたが、特別何か言ってくることもなく、そのうち、現場監督からは、「たまに顔を合わせるが、世間話もするようになったとので大丈夫!」との話もあり、気にすることもなくなっていきました。

ふとした時に、「変わった人もいたもんだ」と思い出す程度です。

●予想通りと言うか

完成も近づき、まもなく水道を引き込む工程となりました。近隣皆さんから道路掘削の許可をいただかなくてはなりません。
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その日、現場監督より連絡が入りました。その近隣が「道路は掘らせない!」と言っているとのこと。ご想像の通りかも知れませんが、その時は「今になってまさか!」といった印象でした。このタイミングを待っていたのかとも思いました。

引き渡し日は決まっていて、引越しの日も決まっています。工程に余裕はありません。ほんと勘弁してください、といった感じです。

私も直接お話しましたが、全く話になりません。勝手に掘ることも考えましたが、あとで何を言ってくるか分かりません。

お施主様とも一緒に対応を検討しました。そして色々資料をひっくり返して見ていくうちに一つ、解決策が見えてきました。

私道部分の持ち分です。共有ではなく筆が分かれていました。そして計画地の反対側に細長く筆が分かれている土地がその近隣の持ち分でした。

さっそく、水道業者に水道本管の位置を調べてもらいました。結果は、手前側に通っていて、その近隣の土地の下には通っていないとのことでした。手前側の所有者からは掘削許可をもらっているので、これで工事を進められそうです。

その足で、説明に行きました。「水道本管はお宅の土地の下にはありませんでした。したがって、お宅地の土地は掘りませんので許可もいりません! よって、明日より工事を始めます」と宣言して帰りました。

その近隣も、苦虫をつぶしたような顔をしていましたが、これで解決です!

●そこまでするか!

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そして翌日を迎えました。工事に立ち会うべく、朝一番現地に乗り込んだのですが、そこでわが目を疑いました。なんと、計画地の真ん前に一台の車が停まっているのです。そう、その近隣の車です。職人たちも、これでは工事できなと困っています。苦情を言おうにも、いくら呼び鈴を押しても誰も出てきません・・・

そこで、警察を呼びました。110番です。しばらくして自転車のおまわりさんが2人やってきました。事情を説明し、レッカー移動してくれと頼みましたが、私道では駐車禁止にならないとのこと。知りませんでした。ただし異常な状況でもあると思ってくれたようで、直接その近隣へ話をしてくれることになりました。

私は一緒に来なくてよいとのことで、遠目におまわりさんを見ていました。

おまわりさんが呼び鈴を押すと、さっきまで留守だったはずですが、その近隣は門まで出てきました。なんか言い合っていましたが、しばらくして、のろのろ歩いてやってきました。そして車の移動となりました。

これでやっと工事ができると安堵しましたが、それも束の間、どこか走ってきてまた現場の前に停めるのです。そして家まで歩いて帰るのです・・・。声を掛けても完全に無視です。

そしてまた警察の出番です、おまわりさんには少し気の毒にもなりましたが仕方ありません。そしてまた車の移動。

今度は、しばらく走って帰ってくると、本人は乗ったまま現場の前に数分間の停車です。ちょっした恐怖を感じました。あまり相手にせず、できる範囲で工事を進め、いなくなったら全力で進める。こんなことが数回繰り返されました。

お隣なりの方も出てきて、困った人だと言っています。ご近所でも問題のある方のようでした。

そんなこんなで、お隣の励ましもあり、やっと工事を終えることができました。本来なら特別難しい工事ではありませんが、職人含め、かなりの達成感を味わうことができました。

単なる嫌がらせだったのでしょうが、すごい暇人です。

●多分これが理由

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なぜその近隣は、こんなことをしたのでしょう。当然直接聞くことはできない訳ですが、お施主様が、いろいろと調べてきてくれました。

計画地の並びには、お施主様の親戚が所有するアパートがありました。ずい分昔の話ですが、このアパートの住人用のゴミ捨て場を、私道のどこにするかで、かなりもめたとのこと。

そんな昔の、そんな話とも思いますが、それしか原因は考えられないとのことでした。