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感覚にやさしい家|視線・音・見通しの設計

家族みんなが落ち着ける家にしたい

場所」を確保したいと考えていたS様ご家族(30代・神奈川県)の事例です。
求めていたのは、

・視線が気にならない居場所
・音の刺激を減らす工夫
・見通しがよく、安心して過ごせる空間

という、感覚過敏に配慮した3つのテーマでした。
しかし、検討していた土地はコンパクトで、LDKと子ども部屋の距離が近く、視線や音がどうしても交差しやすい条件でした。「個室を増やせばいい」という単純な話ではなく、家全体の“つながり方”をどう整えるかが大きな課題になりました。

後悔しないために知っておきたい3つのこと

1.視線をコントロールする“半個室”という選択肢
2.音の刺激を減らす吸音材・建具の考え方
3.見通しを確保しつつ、刺激を抑える照明計画

視線・音・見通しがつくる“落ち着ける環境”のジレンマ

S様のお子さまは、
・急に視界に人が入ると驚きやすい
・生活音が重なると集中しづらい
・暗すぎる/明るすぎると疲れやすい

という特性がありました。
そのため、家づくりでは次のような要望がありました。

・LDKの一角に“逃げ場”となるスペースがほしい
・子ども部屋は閉じすぎず、開きすぎず、安心できる距離感にしたい
・照明は眩しさを抑え、必要な場所だけ照らしたい

しかし、検討していた間取りでは、

・LDKと子ども部屋が一直線で視線がぶつかりやすい
・生活音が反響しやすい形状
・照明が天井中央に1灯のみで調整が難しい

という問題がありました。
さらに、

「個室をしっかり閉じると安心できるが、家族の気配が分からず不安になる」
「開放すると安心だが、視線や音の刺激が増える」

という“相反するニーズ”が存在していました。

個室重視か、共有見守り重視か──検討した選択肢は2つ

A:個室をしっかり確保する
メリット:
・視線や音の刺激を大きく減らせる
・自分だけの落ち着ける空間がつくりやすい

デメリット:
・家族の気配が分かりにくく、不安につながる場合がある
・閉じた空間が増えることで動線が複雑になる

B:共有空間の中に“半個室”をつくる
メリット:
・見守りやすく、安心感がある
・視線をコントロールしやすい
・回遊動線と組み合わせると逃げ場が増える

デメリット:
・完全な遮音にはならない
・家具配置や照明計画の工夫が必要

S様は当初「個室を増やせば安心」と考えていましたが、「閉じすぎると逆に落ち着かない」というお子さまの特性を踏まえ、“半個室+回遊動線”という柔軟な選択肢が浮かび上がりました。

マッチングコーディネータの視点!

発達特性に配慮した家づくりでは、正解はひとつではありません。だからこそ、
「何を優先するか」がご家庭によって大きく異なります。
工務店に要望を伝える際は、次の3点を整理すると提案の精度が大きく上がります。

・刺激になりやすい“具体的な場面”を共有すること
 →人の視線がつらいのか、音が響くのか、照明がまぶしいのか。
  原因が違えば、相性のよい工務店も変わります。

・“落ち着ける状態”を言語化する
 →完全に閉じた空間が安心なのか、家族の気配を感じられる距離がよいのか。
  ここが曖昧だと、空間提案もぶれてしまいます。

・家族全体の生活リズムを具体的に伝えること
 →どの時間帯に誰がどこで過ごすのか。
  この情報があると、動線計画の質は一段上がります。

これらを整理して伝えることで、

「吸音材や建具の選定に強い工務店」
「半個室や回遊動線の設計を得意とする工務店」
「照明計画の細やかな調整に長けた工務店」

といったテーマに沿ったマッチングが可能になります。

S様が選んだのは「半個室+回遊動線+刺激の少ない照明」

最終的にS様は、

・LDKの一角に“視線が抜けない半個室”を設置
・家の中心に回遊動線をつくり、逃げ場を複数確保
・照明は間接光+タスク照明で、眩しさを抑えた構成に
・子ども部屋は完全に閉じず、上部を開けて気配が伝わる設計に

という計画を選ばれました。
これにより、お子さまは安心して過ごせる居場所が増え、家族全体のストレスも大きく減ったと喜ばれていました。

“設備”よりも“環境のつながり”を描くことが大事

発達特性に配慮した家づくりは、単に吸音材を使ったり、個室を増やしたりするだけでは不十分です。

「どこで落ち着き、どこで疲れやすいのか」
「どんな距離感が安心につながるのか」
「視線・音・光がどう交差するのか」

これらを整理することで、家族みんなが安心して暮らせる“感覚にやさしい家”が見えてきます。
視線・音・見通しの3つをバランスよく整えることで、日々の生活がぐっと穏やかになります。