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温室と暮らす家|植物と人にやさしい温湿度設計

土・水・日射の管理をもっとラクにしたい

今回ご紹介するのは、ガーデニング歴10年で「自宅に本格的な温室をつくりたい」と考えたK様(40代前半・神奈川県)の事例です。
求めていたのは、

・季節を問わず植物を育てられる温湿度環境
・水やり・植え替え・片付けがスムーズにできる動線
・害虫や湿気を家の中に持ち込まない工夫

という、温室ユーザーならではの3つのテーマ。
しかし、検討していた土地は南側に隣家が迫り、さらに屋上も狭く、温室の設置場所が限られている状況。
「ただ温室を置くだけでは、育てやすい環境として成立しない」という課題が見えてきました。

後悔しないために知っておきたい3つのこと

1.日射と風通しを踏まえた温室の“置き場所”
2.散水栓・排水・土間の“水まわり計画”
3.害虫・湿気を家に入れない“動線の分離”

温室位置・散水・害虫…温湿度管理が生む計画のジレンマ

K様は、観葉植物と多肉植物を中心に育てており、

・50〜60鉢の鉢物
・週2〜3回の散水
・季節ごとの植え替え作業
・室内へ取り込む植物も一部あり

という、日常的に“土と水”を扱うライフスタイルでした。
検討していた土地は東西に細長く、南側は日射が強いが、隣家が近く風が抜けにくい、
北側は日射が弱く、温室には不向き、という環境。

当初は「屋上に温室を置く」案もありましたが、

・水や土を運ぶ負担が大きい
・散水設備を新設する必要がある
・夏場の屋上は高温になりやすく、温度管理が難しい

などの理由から、現実的ではありませんでした。
さらに、キッチンから離れた場所に温室を置くと、

・ちょっとした水やりが面倒になる
・使った道具を洗う場所が遠い
・室内に土を持ち込みやすくなる

という“動線のロス”が大きくなる問題もありました。

南庭温室+キッチン近接か、屋上温室か──検討した選択肢は2つ

A:南庭に温室を置き、キッチン近くに土間+流しを設ける
メリット:
・水やり・片付けが圧倒的にラク
・日射を確保しやすい
・室内への動線が短く、作業効率が高い

デメリット:
・南側の外観に影響が出る
・害虫対策を丁寧に行う必要がある

B:屋上に温室を置く
メリット
・プライバシーが確保しやすい
・庭を広く使える

デメリット:
・水・土の運搬が大変
・夏場の温度管理が難しい
・散水設備の追加工事が必要

K様は当初「屋上温室」に憧れがありましたが、「日常の作業量と動線を考えると、南庭温室が現実的」と判断されました。

マッチングコーディネータの視点!

これまでの相談で多いのは、
「温室だけ考えて、水まわりや動線の計画を忘れていた」という後悔です。
温室は“置くだけ”では成立しません。
工務店へ要望を伝えるときは、次の3点を整理すると提案の精度が大きく上がります。

・育てている植物の種類と量を具体的に伝えること
 →必要な温室サイズ・日射条件が変わる

・水まわりの優先順位を明確にすること
 →「散水栓の位置」「排水の方法」「土間の広さ」が判断しやすくなる

・害虫・湿気を家に入れたくない範囲を伝えること
 →動線の取り方や、屋外と屋内の“境界”のつくり方が変わる


これらを整理して伝えることで、

・「温室の温湿度管理に強い工務店」
・「外構と住宅の動線計画が得意な工務店」

など、テーマに合った工務店をマッチングしやすくなります。

K様が選んだのは「南庭温室+キッチン直結の土間動線」

最終的にK様は、

・南庭に温室を配置し、日射を最大限確保
・キッチン横に“土間+流し”を設け、散水・片付けを一箇所で完結
・温室から土間へ直行できる動線を確保し、害虫の侵入リスクを最小化

これにより、毎日の水やりや植え替えがスムーズになり、土・水・日射をコントロールしながら、植物と人が快適に暮らせる“温室と暮らす家”が実現しました。

“設備”だけでなく“庭仕事動線”を描くことが大事

温室の計画は、単に温室を置いたり散水栓を設けたりするだけでは不十分です。

「どんな植物を、どんな季節に、どんな作業量で育てるのか」

これを整理することで、土地の形状や生活パターン、将来の鉢数の増加まで含めた最適な温室環境が見えてきます。

温室と暮らす家は、日々のガーデニングの質を大きく左右する空間です。
温湿度・水まわり・動線の3つをバランスよく計画することで、植物も人ももっと快適になります。

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