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地下室

地下室とは、天井が地盤面から高さ1メートル以下にあり、部屋の高さが3分の1以上地盤に埋まっている地階のことをいいます。建築基準法上の居室とするには、衛生上の観点から「ドライエリア」と称する空堀を設ける必要があります。

ドライエリア(から堀)とは、地下室の外側に掘り下げて作られたスペースのことで、地下室の採光や通風、防湿のために設けられます。

1994年の建築基準法改正によって、「その建築物の床面積の合計の3分の1以下に限り、容積率に算入しない」という地下室の緩和措置ができたため、特に地価の高い都市部で急速に普及しました。

なお、緩和措置の対象は、住宅(共同住宅も含む)だけであり、店舗や事務所併用住宅においては、店舗、事務所等の用途部分は対象外となります。

形状

独立型

上家の基礎を兼ねずに、床、壁、屋根があり、地下室の屋根の上に一階の床を施工します。

基礎一体型

上家のベタ基礎を深くして、1階の床を地下の天井にするなど基礎を利用して地下室を造ります。

タイプ

全地下型

地下室全体が地下に埋まっているものをいいます。断熱性、遮音性に優れています。

半地下型

傾斜地などを利用し地下室の一面が露出したり、埋込みを浅くして地下室の天井高さの3分の1まで地上に出したものをいいます。

半地下にすると、容積率緩和を恩恵を受けながら、地上部分に窓を設けるなどして、地上階に近い空間を作ることが可能です。

また、土を掘る深さが浅い上に、天井を木造で作れるなど、より安いコストで作ることができます。一方、高さ規制や土地の条件によっては、建物全体に設計上の制約を加える可能性もありますので、全体のバランスを考えた検討が必要です。

工法

鉄筋コンクリート(RC)造が一般的ですが、鉄骨造やPC(プレキャスト・コンクリート)などの工場生産品を用いる工法もあります。

ユニットを使用する場合は、金額が安く、また工期が短いという利点がありますが、階段の位置や部屋の形が限られるなど、自由度に制限が生じます。

コスト

地下室を作る際には、掘り出した土を処分する費用が掛ったり、隣地の土が崩れないように「山留め」を設ける必要があるため、地上に建物を作る時以上に費用が掛かります。

単に床面積を増やすだけなら安く地下室を作ることも可能ですが、快適な室内環境を持つ地下室を作るためには、少なくとも地上階坪単価の1.5倍必要と言われています(施工費は地域や諸条件によって異なります)。

敷地形状や地盤、地下水位の状況次第で、採用するべき地下室の形状・工法は異なります。また、バスルームや洗面所などの設備を置くかどうかなどによってもコストは大きく変動します。

例えば、湿気対策のために「土に面する外側の壁」と「室内に面する内側の壁」を二重に作る場合には、地上に鉄筋コンクリートの壁を作る時以上にコストが掛かります。

また、設備面においても、地下室の水を排水するためにポンプアップの設備が必要になったり、地下室にバスルーム等の設備を置く場合は給排水設備に掛かるコストが大きくアップします。

地下室のメリット

土地の有効活用

前述の通り、1994年の建築基準法改正により、「その建築物の床面積の合計の3分の1以下に限り、容積率に算入しない」という地下室の緩和措置が適用され、土地を有効活用できます。

遮音性・耐振動性

全地下型の地下室は遮音性が高いので、音漏れを防ぎ、音楽や映画などを楽しむことができます。また、振動が上階に伝わりにくいので、プレイルームやトレーニングルームにも適しています。

室温

地下室の室温はその日の外気温に大きな影響を受けず、ほぼ一定です。

耐震性

地下室は地盤に埋まっているため、地震の揺れが軽減されます。また、地下室を鉄筋コンクリートで造ると、地下室全体が深く丈夫な基礎のような役割を果たすので、地下部分だけではなく建物全体が地震に強くなるのです。

地下室の注意点

防水、湿気対策

地下室を快適に利用するためには、地面と接する壁からの漏水、結露、換気不足による湿気を防ぐことが大切となります。水はけの悪い地盤では、2重壁や2重床を設けるなどの工夫や断熱性を高め結露を防いだり、換気設備と除湿設備により湿気を除去しましょう。

防水工事は、施工方法や防水材などの材料が数多くあり、その費用と効果も異なりますので施工会社より十分に説明をうけ検討しましょう。

二方向非難の確保

通常の階段からの出入り口のほかに、ドライエリアやトップライトにタラップなどを取り付け、万一の事故に備えて非常口を設けましょう。

大雨の浸水に注意

道路との高低差に配慮し、雨水が地下室に浸水しないよう、設計に注意が必要です。