住宅の中に防音室を設ける場合、近隣、外部への音漏れ、近接部に振動が伝わらないことが重要です。
音の大きさ
防音室をどのような目的で使用するのか、その音の大きさはどのくらいなのか、どのくらいの効果が必要かを把握し計画を立てます。
性能表示
防音効果は「D値」と呼ばれる遮音性能を示す数値で評価します。数値が大きいほど効果が高いことを表します。
例)遮音性能「D-50」とは
各部の防音対策
(1)壁・天井
壁や天井の防音には、「吸音材」と「遮音材」を使用します。
室内で発生する音を吸音材で吸収し、遮音材で外部に出ないように反射します。
吸音材
防音に使用される吸音材は、断熱材にも使用される「グラスウール」や「ロックウール」です。
それぞれに特徴があり、グラスウールは密度が低く、中高音域の吸音性に優れ、ロックウールは密度が高く、中低音域の吸音性に優れています。
同じ材料でも、厚さ、密度、表面の通気性などによっても吸音性能は変化しますので、部屋の用途や音の種類に合わせて採用するものを決めます。
遮音材
防音に使用される遮音材は、音を反射する効果のある「石膏ボード」や「遮音シート(塩化ビニールに金属粉などが含まれた材質で、切断や折り曲げが容易にできる軟質シート)」が使用されます。
吸音材と同様に種類は豊富で、厚みや遮音性能の高さなどを基準に選びます。
(2)床
フローリングの床は、カーペット貼りの床よりも4倍音が響くと言われています。
床はカーペットやクッションフロアを使用するだけでも効果がありますが、より効果を上げるには、防音カーペットや防音マットを使用します。
オーディオなどは重低音による床への振動があるので、スピーカーの下に遮音マットを敷いた方が効果が高くなります。
(3)扉
住宅で使用される扉は、薄くて軽いので音が外部に漏れやすいものが多いです。
既存の扉を利用する場合は、扉面に遮音シートを貼り、扉枠に気密性が高まるようにパッキンを貼ります。
また少し高価になってしまいますが、既製品の防音扉を採用する方法もあります。
(4)窓
遮音性能を上げるには、防音用サッシ、二重サッシを使用することが効果的です。
サッシの遮音性能を示す数値に「T値」と呼ばれるものがあり、「T1」「T2」「T3」「T4」の等級で表され、T4が一番性能が高い表示です。
一般の住宅用サッシはT1レベルのものが多く、T4のレベルの実現には二重サッシが必要になります。
対象となる音によっては、防音効果のあるカーテンを使用することでも効果はあります。また性能が高いものを求めるのであれば、窓そのものを防音効果のあるパネルで塞いでしまうのが理想です。
(5)エアコン・換気扇
種類は豊富ではありませんが、防音室用換気扇や換気機能のついたエアコンなどの商品があります。
取り付け位置には、音漏れの原因となる隙間ができないようにパテで丁寧に塞ぎます。
(6)地下室
外部から内部への音の侵入、内部から外部への音漏れなど、音の問題を防ぐには地下に防音室をつくることが一番理想的です。
居室として使用する場合は、ドライエリアを設ける必要があるので、開口部は二重サッシなどにすると高い効果が保てます。
構造の防音対策
性能の高い本格的な防音室が必要な場合、部屋の中にもう一つ部屋をつくり、壁・天井・床の間に空気層を設ける構造にします。
空気層を設けることによって、音の振動を伝わりにくくします。
また外側の部屋と内側の部屋を支持するものには、ゴム製の防振材料を使用し振動を伝えないものにする必要があります。
既製品の利用
防音室には、組み立てるだけで完成するユニットタイプの既製品があります。
0.8~5畳くらいの広さで、楽器演奏、オーディオルームなど目的にあった製品を選ぶことができ、大掛かりな工事も必要ありません。
また移動させることも可能です。
音響効果
防音室は、目的にあった音響計画も必要です。
楽器練習用の防音室であれば反射音や残響音、オーディオルーム・ホームシアターであれば音楽や映像の臨場感を得るために重低音、と音の効果を計画しなければなりません。
防音室の計画は、経験のある業者や防音室に詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。