大きな視点で見れば、土地の価格は人口動態や経済状況、金利政策、デベロッパー等の法人や海外の投資家の動きなどの影響を受けますが、ここでは1つの物件の「個別の要素」に限定してお話しを進めます。
土地も他の商品と同じように、需要と供給のバランスによって価格が決まります。
しかし、土地がパソコンや車などの量産品と大きく違うのは、土地は「1点もの」という点です。
パソコンや車などは同じ製品をたくさん生産できますが、土地はパソコンや車と違って、人気があるからといって量産できるものではありません。一つ一つの土地が唯一無二であり、人気に比例して地価も高くなります。
また、土地そのものの評価とは別に、売主の事情によっても左右されます。
土地の価格に影響する個別の要素は以下のものです。
(1)地域性
土地の価格は、街のイメージや利便性、住環境など、「その地域の持つ地域性」によって異なります。交通の便や買い物の利便性がよく、環境に恵まれた地域は価格が高く、そうでない地域は価格が安くなります。これがいわゆる相場というものです。
例えば東京都の港区、渋谷区等は、全国的にみても人気のエリアと言われています。人気の高いエリアでは、売る側が強気な値段を設定しても、それでも欲しい人がいるために、ますます価格が高くなっていきます。
(2)その土地の持つ固有の特性
土地の価格は、生活の利便性、方位、形、道路条件、高低差、その地域の建築法規など、その土地が固有に持つ特性によっても大きく異なります。
一般的には、駅から近く、間口が広く、形が整い、広い道路に面し、道路との高低差がない土地は高くなります。
また、同じ面積の土地であれば、より広い建物が建てられる方、つまり建蔽率や容積率が高い土地の方が価格も高くなります。
(3)流通量
人の出入りが少なく売り出される土地が少ない地域では、相場そのものが成り立ちづらいために、たまに土地が売りに出されると高値で取引される傾向があります。
逆に流通量が多く相場が成り立ちやすい地域では、地価を形成する要素が互いに影響し合い、比較的こなれた価格で取引されます。
(4)業者の動向
いい土地の情報は表に出る前にまず業者に回ります。個人の買主と違って、不動産業者やデベロッパーなどは決断が早い上に、ローンが通過しなかった場合に解約になるリスクがありませんので、売主から見れば多少値引いても魅力のある取引相手です。
業者がどの地域に魅力を感じるかは(1)とほぼ同様ですが、金利や土地政策によって特に建売業者が活動しやすくなる環境が整うと、元々人気のある地域の相場をさらに押し上げることになります。
(5)売主の事情
地価は、その土地を所有している売主の事情によっても異なります。
急いで売却する事情のない売主は、少なくとも相場値で売却できるまで待とうとします。一方で、何らかの事情ですぐに資金が必要な場合は、価格を安くしてでも早く売りたいという動機が働きます。