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海近ロケーションならではの悩み
今回ご相談いただいたS様の土地は、庭から海を望む最高のロケーション。徒歩1分でビーチに出られる環境で、週末は必ずサーフィンを楽しむライフスタイルです。
ただし、海沿い特有の課題がありました。潮風に含まれる塩分による外壁や金属部品の腐食(塩害)、砂や湿気による室内の汚れ・カビなどです。特に海から戻った際に濡れたまま室内に入ると、床材や建具が痛みやすく、気づかないうちに建物寿命を縮めることもあります。
S様は「サーファーズハウス」にしたい一方で、「長く快適に暮らせる家」にもこだわりたく、間取りと素材選びに悩まれていました。
サーファーズハウスのポイント3つ!
・濡れたまま出入りできる玄関と動線
・ サーフボードやウェットスーツを干せる土間・屋外スペース
・塩害・湿気に強い建材とメンテナンス性
工務店から受けた提案は3つ
S様が相談した工務店では、サーファーズハウスに適した3つのプランを提示されました。
① 土間玄関+屋外シャワーを玄関横に配置
メリット
・海から戻ってすぐ砂や塩を洗い流せる
・土間玄関で濡れたまま出入りOK、床や建具の痛み防止
・ボードラックやウェット干し場を一体化できる
課題
・土間を広く取る分、居室面積がやや減少
・外構工事費(排水・屋根・給水・排水配管)が増える
② ガレージ活用+脱衣場直通動線
メリット
・ガレージ内で道具洗浄・乾燥ができ、作業が天候に左右されにくい
・ガレージから脱衣所へ直行できる動線で、室内を汚さない
課題
・ガレージに防水勾配と排水口を確保する必要あり
・車とサーフ道具の共存にスペース的制約
③ 屋外シャワー+勝手口動線のシンプル案
メリット
・外構コストを抑えつつ、最低限の機能を確保
・勝手口から浴室への短い動線で汚れを持ち込まない
課題
・干し場や収納が別途必要
・冬季や雨天時の作業性が限定される
塩害・砂・湿気に強い家づくりで決定!
S様が選んだのは、①土間玄関+屋外シャワー案。
理由は「趣味を最優先にしたい」という軸。土間玄関にサーフボードラックを設け、屋外シャワーで砂や塩を落としてから室内に入れる動線を確保しました。 さらに、塩害対策を徹底しました。
外壁材 :耐塩性に優れたガルバリウム鋼板やセラミック系サイディングを検討
金物・ビス :ステンレスやアルミを使用し、錆びにくい仕様に
サッシ・窓枠 :アルミ+樹脂複合サッシで耐久性アップ
屋根材 :耐食性の高い金属屋根+防錆塗装
換気計画 :海風による湿気を逃がすため、通風設計を強化
定期メンテナンス:外壁洗浄や金物チェックを年1回推奨
屋外干し場にはポリカーボネート屋根を設け、通風を確保しつつ雨避けも可能。ウェットスーツも塩抜きしてから吊るせる仕様にしています。また、玄関横の排水勾配や排水桝の清掃口を設け、砂詰まりによる水はねを防止。これにより、屋外シャワー周りも快適に保てます。
結果、S様邸では「濡れたままでも快適に使える家」を実現。「リビングが少し狭くなっても、海帰りのストレスゼロが何より価値がある」と、完成後の満足度は非常に高いものでした。
マッチングコーディネータの視点!
サーフィンを中心に暮らす家では、動線・素材・メンテナンスの三位一体設計が不可欠です。
・土間玄関や屋外シャワーは初期設計で必ず要望を伝えること。
→後から追加すると排水や防水構造に影響が出ます。
・塩害対策は「外壁・屋根・金物・サッシ・電気設備」までトータルで検討することが重要。
・外構も建物の一部と考える。
→干し場の屋根・風通し・砂の排水計画を含めた設計が、家の寿命を左右します。
趣味を楽しむ家づくりでは、「どこを譲り、どこをこだわるか」が成功の鍵です。まずは、あなたの「海から家までの動線」を想像してみてください。そこに暮らしのヒントが隠れています。

