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「親が一人で暮らすのは心配。でも、同居となると家のつくりをどうすればいいのか…」
そんな悩みを抱える方が、今とても増えています。
N様ご夫婦(50代)は、80代のお母様との同居を決め、実家の建て替えに踏み切りました。
きっかけは、「夜中に母が転んだら…」という不安でした。
お母様は杖を使って歩くため、寝室からトイレまでの距離が大きな課題に。
まずは「どうすれば夜中の移動が安全になるか」を軸に、家づくりが始まりました。
失敗しない!高齢の親との同居に向けた家づくりのポイント3つ
・夜間の動線を最優先に考える
・水回りを「親専用」か「家族と共用」かを家族で話し合う
・将来の介護を見据えた設計にする
工務店との打ち合わせで見えてきた“生活の流れ”
初回の打ち合わせで工務店から聞かれたのは、お母様の一日の過ごし方。
・夜中に2回はトイレへ
・朝は洗面 → 食卓へ
・昼はリビングで家族と過ごし、ときどき庭へ
この流れを図にすると、「寝室・トイレ・洗面」が離れていると、転倒リスクが高まることが分かりました。
さらに、夜間の廊下照明が遅れて点灯すると、つまずきやすいという課題も。
2つの選択肢
A. 親専用の水回りをまとめる案
お母様の寝室の隣にトイレと洗面を配置するプラン。
・深夜でも数歩で移動でき、介助もしやすい
・ トイレや洗面が重複するため、建築費・掃除の手間が増えるB. 家族共用で一体化する案
B. 家族共用で一体化する案
LDKに隣接する共用のトイレ・洗面を母も使うプラン。
・ 設備の重複がなく、コストを抑えられる
・ 深夜の移動距離が長くなり、家族の睡眠を妨げる可能性も
工務店は「コスト重視ならB案、安全重視ならA案」と整理してくれました。
N様が選んだのは「専用水回りをまとめる案」
最終的にN様は、「夜間の安心」を最優先にA案を採用しました。
さらに工務店の提案で、
・廊下は車椅子でも通れる広さに
・トイレ前に人感センサー照明を設置
・床は滑りにくく掃除しやすい素材に
といった工夫を加えました。
完成後、お母様は「夜中のトイレが怖くなくなった」と安心の表情に。
ご夫婦も「母に声をかければすぐ駆けつけられる」と心強さを感じているそうです。
マッチングコーディネータの視点!
これまでの相談でも多いのは、「親御様の安心」と「家族全体の快適さ」をどう両立するかという悩みです。
特にトイレを1つにするか2~3つにするかは大きな分かれ道。
費用だけでなく、夜間の移動や介助のしやすさを想像して判断することが重要です。
工務店に要望を伝える際には、
・夜間の移動をどれだけ短くしたいか
・将来的な介助のしやすさを重視するか
・共用設備が家族の生活リズムに影響しないか
といった軸を整理しておくと、現実的なプランを引き出せます。「どんな暮らし方が自分たちに合っているか?」を家族で話し合いながら、後悔のない家づくりを進めてください。