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ハッピーエンドの処方箋

階段下トイレ
ダメなものはダメなのです!

平面図を見て、どこまで理解ができるでしょう。6帖とか8帖とか広さに関しては実感できるとして、では、高さはどうでしょう。特に階段まわりの高さ関係を把握するのはむずかしいのではないでしょうか。

実際のお話

●ここに全ての原因が

計画は、狭小地での店舗併用住宅。構造は重量鉄骨造でした。プランがなかなかまとまらず、とくに1階のトイレの位置が問題で、何度も変更をかさねていました。トイレを優先すると、どうしても他にしわ寄せがでてしまう状況です。

そのようななか、お客様から、階段下でも良いのでは、との話がでてきました。よく見かける階段下トイレよりも更に厳しい位置にもってくるもので、さすがにこれは使いづらく、

businessman1_nayami口頭で高さを説明し、やめた方が良いとお伝えしました。

それでもお客様は、他はうまくまとまっているし、トイレの高さは我慢できるので良いと言ってきます。結局、他の提案もできぬまま、その言葉に甘えて、プランをまとめてしまいました。

●了解の証拠が必要

話はどんどん進み、設計契約をいただく運びとなりました。その際の社内チェックでトイレが問題となりました。

高さに関しては、お客様へキチンとお伝えし了解をもらっているので大丈夫、と説明しましたが、口頭だけでは不十分で、断面図を書いて、高さを明記し、再度お客様に確認をしてくるようにとの指示を受けました。

せっかく了解をもらっているのに、なにを今更面倒な、とも思いましたが、一応図面を書いて改めて説明にうかがいました。お客様は、自分は背も低いし大丈夫とのことで、改めて了解をもらったのでした。

その後、打合せは順調に進み、金額もまとまり請負契約となりました。トイレの断面図も契約書に綴じられています。一件落着といった感じです。

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契約が終わると、インテリアコーディネーターとの打合せが始まります。通常、家づくりにおいて、一番楽しい打合せの期間です。

●突然実感したりするもの

ある日のことです。

その日は、モデルハウスでインテイリアコーディネーターとの打合せでした。夕方、担当コーディネーターが私を呼びにやってきました。お客様が呼んでいるとのこと。

全く、順調に進んでいると思っていた私は、打合せのお部屋まで小走りでうかがい、笑顔のまま「打合せ、お疲れ様でした!」とごあいさつをしたのですが・・・

そこには、わなわなとこちらを睨みつけるお客様が座っていました。そしてバン!とテーブルをたたいて立ち上がりました。

一体、なぜこんなに怒っているのか、理由もわからず立ち尽くしている私に、「なんだこのトイレは!こんなトイレ使えないだろう」とのお言葉・・・

私も、おずおずと言い返しました。「今まで何度も説明し、図面にも書いて確認し了解をもらったではないですか」と、更に「その図面で契約しているではないですか」と。

するとお客様は真っ赤な顔をしてこう言いました。「お前(私の事)このトイレ使えるのか!」

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今さらとは思いつつも、少し間を明け「使えません・・・」。

答えようがありませんでした。確かにお客様は、私より20センチほど背が低いのですが、そのトイレは他の人も使う訳で、言い訳になりません。なぜ、あの時そのまま進めてしまったのかと、一瞬後悔もしましたが、後の祭りです。

そして、お客様はそのまま、展示場から去っていきました。

しばらく茫然としていましたが、とりあえずこのままではまずいと思い、駐車場まで走って追いかけました。

丁度、駐車場から出るところでしたが、お客様は私に気づき、車を止めてくれました。
ですが、窓を開け一言、「絶対ゆるさないからな!」と、そしてそのまま去っていきました。お客様の目には涙があふれていました。大の大人を泣かせました・・・

●怒るには怒る理由が

その夜、少し時間を空けて、設計担当とご自宅まで訪問しました。ですが、ご主人に会うことはできませんでした。そこで奥様から昔の話を教えてもらいました。

昔、ご主人は、店舗の中で振り向きざま何か固いものに頭をぶつけ、何針も縫うような大けがをしたことがあったとのことで、今回改めてトイレの高さを実感し、また頭をぶつけてしまうのではないかと、当時の記憶も合わさって怒りが爆発したのではないか、とのことでした。

翌日も、設計担当と自宅に伺い、社内でも検討した変更案などいくつか説明しましたが、出せども、出せどもご納得していただけません。

一週間、毎日お伺いし、やっとご納得いただきましたが、その時は、トイレの高さを再現した箱とロープと段ボールを持参し、その箱に座ってもらい、ロープを張って段ボールで天井をつくり高さを実感してもらいました。

どうすれば回避できたか