7月のインスタライブ
毎月開催しているインスタライブ、7月は建築家 西久保 毅人さんが建てられたおうちにお邪魔しました。
昔ながらの細い路地が多い住宅街、69平米の敷地に建つ木造3階建て住宅(20坪)です。
近隣にも住宅が密集する環境で、いかに気持ち良く過ごしてもらえるかを考え、作られたそうです。
家と街のあいだに。
西久保さんが一番大事にされているというコンセプト「家と街のあいだに。」
小さめのスペースの場合は、家を閉じすぎず、家と街のあいだの「しつらえ」を丁寧に考えてあげることで、
西久保「小さいおうちが街を手に入れたかのような体験に変わるといいなと思っています。」
路地に面している部分には、植栽の緑がたくさん。ギリギリに建物を建てるのではなく、少し引いたスペース作りがなされています。
20坪というスペースでもきちんと引きを作ることで、暮らしはぐっと豊かになりますね。
街を体験するように考える。
玄関へ向かう途中、庇のような屋根があったり、お子様のお友だちなどが入ってこられる入り口があったり。
西久保「街のつづきのように入っていけるんです。」
塀や植栽などの小さなしつらえを何層も重ねることでプライバシーは確保されていながらも、街とやんわりつながっているようです。
玄関から中に入ると、吹き抜けもある土間がつながっていて、広々としたダイニングスペースになっています。
大きく開く入り口からそのまま入ってこられるので『玄関食堂』と言われているそうです。
街をとりこんだダイニング
ダイニングと同じ空間に作られたキッチン。
木の棚やタイル、施主さまの置かれた小物のセンスも相まってとても素敵な雰囲気です。
西久保「ダイニングテーブルは真っ直ぐでもよかったですが、少しでもお庭のほうに気持ちが向くように、少し曲げています。」
落ち着いたトーンの壁は、京都の和紙作家ハタノワタルさんに貼っていただいたもの。
桜の名所であるという街のイメージを家の中にも取りこみ、素敵な桜色になっています。
キッチンの奥には2畳ほどの小さなパントリーが。こちらも素敵な壁紙で彩られています。
オープンなキッチンにはこうした物を隠せるスペースがあると便利ですね。
さらにその奥には西久保さんが「謎のスペース」と呼ぶ、小さな空間が。
麻のカーペットが敷かれており、現在はお子様が主に使われているようですが、お子さんの成長に合わせて、現在のようなお絵描きスペースから「最終的には親父がしっぽりお酒を飲む場所になれば(笑)」と西久保さん。
くるくるまわる
今回のおうちのポイントは「くるくるまわる」。
小さなおうちだと行き止まりがあって、戻ってこなくてはならないことがありますが、徹底的にくるくる回れるように作られたとのこと。
キッチンから、パントリー・謎のスペースもぐるりと繋がっています。
階段を登っていくと、吹き抜けからダイニングが見えています。
斜めの壁もうまく利用しながら「狭いところは狭く、広いところは広く」メリハリをつけることで、屋内がとても広く感じられます。
2階でもくるくるまわる動線が、寝室からテラスまで。どの空間も素敵な色使い・風合いの壁が使われています。
テラス越しにも、またファミリークローゼットを通り抜けても回遊ができるという2階。至るところに大小様々な窓も作られていて、外や街の様子を見ることができます。
西久保さん「小さいおうちだと角が痛々しくなるので、なるべくカーブをつけて曲がりやすくしています。」
窓向きのテーブルも直線ではなくRを描いていて、くるくるまわる動線にぴったりです。