インタビューを受けました
「工務店についての私の研究にお力添えをいただけませんか?」
11月初旬、弊社のお問い合わせフォームにちょっと珍しいご連絡が入りました。
メールをくださったのは大学4年生の渡辺匡哉さん。鳥取で工務店をなさっているお父様のために、卒業研究のテーマとして「地方の工務店活性化」を選んだそう。
題して「工務店2.0 地方の小さな工務店がこれからの時代で発展していくための提案」。
真っ直ぐな彼の雰囲気に押され、1時間程のインタビューをお受けしました。その中で、家を建てる工務店選びのヒントにも繋がるお話を、抜粋して皆様にお届けしたいと思います。
付加価値で選ばれる工務店とは
渡辺さん:工務店が安さで選ばれないために、「安さ」じゃない価値をどういう風に見出したらいいのかと思っていて。安さで選ばれない(価格以外の価値がある)工務店とはどういう工務店でしょうか。
八谷:低価格の住宅を提供しているローコストメーカーさんがいらっしゃいますよね。価格という同じ土俵にのると工務店は負けてしまいます。全国展開をして大量仕入れで材料費を削減し、大量供給をできるハウスメーカーには勝てません。
工務店さんは価格競争では負けてしまうので、価格競争に巻き込まれない様に地域工務店としての特徴をだした家づくりをやっています。ハウスメーカーにはないポジションをどう確立するか、工夫している工務店さんは安さ競争に巻き込まれないで経営されています。
渡辺さん:工務店は特徴をどう生み出したら良いんでしょうか。
八谷:工務店さんは他社と比較されていることを理解して、自社の家づくりのコンセプトを明確に打ち出す方がお客様もわかりやすくて判断しやすいのではないかと思います。
お客様は工務店さんから「何でもできますよ!」といわれると、強みが分からず「特徴がない」と感じてしまうんですね。ただし、工務店さんの中には「コンセプトを一切持たない」というコンセプトを分かりやすく打ち出しをしている工務店さんもあります。明確に打ち出すことが大切で、コンセプトが曖昧だと工務店のスタッフさんも曖昧な対応しかできなくなります。
お客様が工務店を選ぶポイントはバラバラです。コスト、打合せのしやすさ、デザイン力、提案力、工務店との相性など、何を優先しているのか・・・。ましてや私共が工務店さんをご紹介する段階では、家づくりの優先順位をご自身で整理し、理解されている方は少数ですね。
お客様は、安くて、デザインが良くて、素材が良くて、対応力が良くて、要望を全部を叶えてくれるスーパー工務店をお求めになるんですけれど、そのような工務店はありません。工務店だけではなくハウスメーカーも含めて、各社それぞれに強みと弱みを持っています。
家づくりを始めたばかりで、どのような家づくりを求めているのか分からないお客様には、異なるタイプの工務店さんと打合せをしてみることをお勧めしています。
その結果、それぞれのお客様によって選択は異なります。A様にとってC工務店が正確でも、必ずしもB様にとってC工務店は正解ではありません。お客様によってそれぞれ答えが違うものなので、「どの工務店を選んだら正解!」というのはないんです。
例えば、コストパフォーマンスを優先している工務店に、価格の高い工務店と同じ対応を求めても無理なんですよ。そういうコンセプトでやっていないので。そこをどうお客様が判断なさるか、というお手伝いをさせていただくのが私たちのお仕事です。