見積もり金額という現実
ショールームでバスルームを見比べた話は、前回のコラムに書きました。
今回、その選択の結果が「金額」という形で戻ってきました。水回り設備のトータル見積もりが、工務店から提示されたのです。
バスルームについてはA社・B社の2社で比較検討していました。
同等グレードのユニットバスで揃えたつもりが、出てきた金額はおよそ100万円の差。B社の高さには、正直、目を疑いました。
最終的にA社で進めることにしましたが、決め手は金額だけではありません。
我が家は母の足が悪く、現在もバスルーム内に介護用の椅子を持ち込んで使っています。
A社の椅子は浴槽と連続した設計になっており、移乗がしやすい構造でした。ショールームで母が実際に確かめて、「こちらがいい」と言った。その一言です。
100万円の差があったことはもちろんですが、実は決め手は「椅子の安定感」でした。
これは、カタログや数字だけでは辿り着けなかった結論です。ショールームで実物を見たからこそ、判断できたことでした。
メーカーによってここまで金額が変わる理由は、製品の設計思想やブランド戦略の違いが反映されている部分が大きいようです。
同じ「ユニットバス」という括りでも、素材の選定や開発コストの載せ方が異なります。
どちらが優れているという話ではなく、「何を重視するか」によって選ぶべき答えが変わってくる——水回りの選定は、そのことを改めて教えてくれました。
細部に、工務店の姿勢が出る
水回りの金額と並行して、外観のプランにも修正が入りました。
以前の提案にはタイル・レンガ張りのイメージが含まれていましたが、今回はそれをシンプルな素材に変えながら、色合いはこちらの希望をそのまま残してくれた形です。
コストを下げながら、好みは殺さない。そういう落とし所を、自然に出してきてくれました。

駐車場のポールについても提案があり、見た目重視と機能重視の2方向から、4つほど選択肢を提示してくれました。
今回、我が家が依頼した工務店は、お願いしたことに対して「できません」と言わない工務店です。要望をそのまま叶えられない場合は、必ず代替案や選択肢を持ってきてくれます。
高齢の両親にとっては、おそらく最後の住処になる家です。
二人の希望をできるだけ形にしたい、という気持ちは最初からあったので、できないと言わないことは大変助かります。
そういう工務店と一緒に家をつくれていることは、素直にありがたいと思っています。
ただ、希望を叶えようとすれば、当然お金もかかります。どこまでを許容するか、自分の中に「モノサシ」を持っていなければ、際限がなくなってしまうでしょう。
希望と予算の間で、そのモノサシを握り直す作業が、家づくりのかなりの部分を占めているのだと改めて実感しています。
骨董品と、引越し業者と
工務店との作業が進む一方で、家の外側——今の暮らしを畳む準備も続いています。なかでも手強かったのが、不用品の処分です。

我が家には祖父から引き継いだ骨董品が多く、リサイクルショップや古美術商に査定を依頼しました。ところが、和食器、掛け軸、茶道具、着物は、ほとんど値がつきませんでした。
和室のある家が減って着物を着る機会も減った今、和の物は需要がないのだそうです。仕付け糸のついたまま一度も袖を通されなかったものも数枚まとめて数千円、帯紐などは30円と価値がほぼありません。
物の価値は、需要があってこそ成立するのだと、妙に腑に落ちた瞬間でもありました。買取がゼロでも処分費用がかからない分はマシ……そう考えて、前に進めています。
また、家づくりと並行で行っている引越し会社の手配は、想像以上に手厚いサポートもあって、少しホッとしています。
事前に自宅を訪問して一緒に荷詰めをしてくれるプランを依頼しましたが、仕分けの指示を出しながら、不用品の処分と荷造りを同時に進めていきます。5月の連休中はほぼそれに費やしましたが、体力的にも判断力的にも消耗しました。
建て替えの場合、長く住んでいるほど荷物は多くなります。
仮住まいに持ち込む荷物、新居ができるまで箱のまま眠らせておく荷物、倉庫に預ける荷物——我が家はおそらく半分が倉庫行きです。
仮住まいの広さと荷物量は、早い段階で照らし合わせておくことを、改めてお勧めします。
請負契約を前にして……
間もなく上がってくるであろう、仮ではなく請負契約前の「見積り」を前に、かなり緊張しています。
設備の選定が進むにつれて金額はまだ動く可能性があり、資金計画にも改めて向き合っています。
覚悟を決めて、下げられるところは下げてもらうべく、これから工務店とも話をしていきます。
次回は、いよいよ「請負契約」についてお伝えできると思います。
【過去のコラムはこちらから】
【1】実家の建替えを決めた日
【2】家族の本音と、現実との折り合い
【3】ザ・ハウスの工務店マッチングサービスに申し込んだ日
【4】工務店マッチングサービス、二回目の電話で見えてきたもの
【5】工務店との面談開始(前編)
【6】工務店との面談開始(後編)
【7】工務店の候補を検討する
【8】工務店を最終決定する
【9】契約書にサインする日
【10】コーディネーターとして、施主として
【11】好みを伝え続けた先に、形があった



