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「自由設計って言ったのに…?」工務店やハウスメーカーで異なる“自由度”の実態

自由設計って、どこまで自由?

「当社は完全自由設計です」これは、どの工務店やハウスメーカーでもよく聞くフレーズです。分譲住宅や建築条件付きの土地であっても、「自由設計」と表示されています。ですが、実際に家づくりを進めていくと、こんな疑問が出てくる方が多くいらっしゃいます。

「自由設計と言われたけど、構造の都合でできないって言われた…」
「このデザインにしたかったのに、オプション扱いで大幅に金額が上がってしまった」
「選べると思っていたけど、キッチンやクロス、フローリングなどはパターンの中から選ぶだけだった」

「自由設計って言ったのに、これって自由じゃないの?」——今回は「自由設計の自由度とは何か」を整理しながら、納得できる家づくりのために大切な視点をご紹介します。

自由度には、コストとリスクがついてくる

多くの工務店やハウスメーカーが「自由設計」と言うのは、基本的には間違いではありません。ただし、その“自由度の範囲”は工務店やハウスメーカーによってまったく違うのです。

たとえば:

●間取りだけでなく、構造や使用できる素材、開口部の大きさや窓の種類まで柔軟に設計できる工務店

●決まったプランをベースに少し変更できるだけの工務店やハウスメーカー

●外観・内装・設備は「選べるパターン」があらかじめ決まっている工務店やハウスメーカー


この違いが生まれる背景には、コストと生産性のバランスがあります。

▷ 自由度が高いほど、コストは上がる傾向に

完全自由設計を実現しようとすると、建材の選択や設計の手間、現場対応の複雑さが増します。一方、仕様をある程度パターン化すれば、仕入れの効率も上がり、設計や施工ミスも減らせます。結果的に、コストも抑えられ、引き渡し後のクレームも減る——そうした背景があるのです。

つまり、自由度と価格はある程度連動しているということ。

このことを知らずに、「自由にしたいけど予算はおさえたい」と考えると、後になって「思ったより選べなかった」というズレが生まれてしまうのです。

自分たちは、どこにどれだけ“こだわり”を持っているのか?

意外と多いのが、「シンプルでいい」と思っていたのに、選べる幅が狭いことにストレスを感じるケース。実は、自分でも気づかないうちに、こだわりたい部分があったことに途中で気づくことがあります。

逆に、「せっかく注文住宅にするならこだわりたい」と思っていたけれど、実際に選べる状況になると、選べる幅が広すぎて迷ってしまい、そこまで強いこだわりがなかったことに気づく方もいます。

つまり、施主自身が「自分たちは家づくりのどこにどれだけこだわりたいのか」を整理できていないことが多いのです。家づくりの初期段階では、「自由設計=自分に合う」と思い込まずに、以下のような視点で考えてみるとよいでしょう。

●どこにこだわりたいか?(間取り?素材?外観?キッチンや水まわりなどの住宅設備?)

●どこは任せてもいいか?(断熱や耐震などの性能?内装デザインのテイスト?設備の仕様やグレード?)

●完全自由度にすることが自分にとってストレスにならないか?(選択の多さが逆に負担になるケースも)

自由度すぎてもつらい?──実例に見る“ちょうどよさ”

あるお客様は、ハウスメーカーで家づくりを検討していたものの「自由度が足りない」と感じ、工務店を検討するようになりました。複数の工務店と打ち合わせを重ねるなかで、設計の自由度が高く、細かい部分まで選べる工務店にも出会いました。

ところが、打ち合わせが進むうちに「選ばなければいけないことが多すぎて、だんだん疲れてきた」と感じられるようになり、最終的には“自分には、ある程度決まった中から選べる方が合っている”という結論に至ったそうです。

自由度が高いことがすべての人に合うとは限りません。だからこそ、「ちょうどよい自由さ」の見極めが重要になります。

自分に合う「自由度」を見つけるには?

そこで私たちがおすすめしているのが、タイプの違う工務店やハウスメーカーを比較してみることです。

たとえば、


●設計の自由度が高く、個別対応に強い工務店

●一定のルール内でコストパフォーマンスを追求する工務店やハウスメーカー

●自由度と価格のバランスを取りながら、柔軟な提案を行う中間型の工務店

どれが優れているという話ではなく、自分たちの理想に「ちょうどいい自由度さ」を見つけることが、家づくりの満足度を大きく左右します。

「自由設計」に振り回されないために、まずは自分の“こだわり”を知る

注文住宅のメリットは、「自分たちの暮らしに合った家を建てられること」。けれど、その“自由度”がどの程度で、何に対してか——は、工務店やハウスメーカーによって異なります。

また、自分自身の中にも、「こだわりたいところ」と「任せてもいいところ」があるはずです。それを整理しないまま進めてしまうと、「なんだか不完全燃焼だった」「もっと調べておけばよかった」と後悔につながってしまいます。

だからこそ、「自由設計」という言葉に振り回されず、まずは自分がこだわりたい部分と、そうでない部分を整理すること。それが、納得のいく家づくりへの第一歩になります。

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