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擁壁

擁壁とは、盛土や切土など敷地に高低差がある場合に、土圧(土砂や敷地の上に載る建物の重さ)を支え、土地の高さの差を維持するように設計された構造物のことをいいます。

擁壁上の土地に家を建てる際の注意点

擁壁が老朽化していると、建物を建替えた際に崩れてしまう恐れがあります。

そのため、擁壁の構造が不確かな土地に家を建てる場合には、土圧が掛からないように擁壁から遠ざけて建物を建てる必要が生じたり、建物の一部を鉄筋コンクリート造などの強固な構造にすることが求められることがあります。また、亀裂が入っていたり、排水に不具合が生じていたり、空積みやコンクリートブロックで造られた擁壁は、造り直しが必要となる可能性があるので、注意が必要となります。

特に擁壁のある土地を新規に購入する場合は、土地の価格だけに目を奪われることなく、建物に対する制約や擁壁工事費も含めた総合的な判断が求められます。

なお、高さや幅、種類にもよりますが、擁壁は決して安いものではなく、また正確な工事費を算出する場合には、相応の調査と時間が必要になります。

擁壁があることによって、新たに建てる建物の配置計画や構造に制約が生じないか、また、擁壁を建替える必要がないかを事前にハウスメーカーや工務店、設計事務所とよく相談しておくことが必要です。

擁壁の種類

擁壁にはいろいろな種類がありますが、一般的に住宅で使われる擁壁は次の4種類です。

練積み造

・間知ブロック練積み造

コンクリート製のブロック(間知ブロック)を、コンクリートを用いて積んだ擁壁です。比較的地盤の良い斜面を押さえる構造で、高さ5メートル程度の擁壁まで可能です。

・間知石練積み造

30cm角程度に整形した石を、コンクリートを用いて積んだ擁壁です。

・自然石積み擁壁

石の種類や積み方により、野面積みや崩石積みと呼ばれています。コンクリートを用いて施工しない場合には、構造計算は難しく、安全を確認することができないため、法律上の擁壁とは認められません。

鉄筋コンクリート造

L型や逆L型などの形状をした鉄筋コンクリート造の片持梁式擁壁です。壁及び底版には、土圧を受けるために必要な鉄筋が配筋され、断面は重力式擁壁等よりも小さくてすみます。

コンクリート造

構造物(無筋コンクリート)の重さによって土圧を支える重力式擁壁です。基礎地盤が良好な場合で低い擁壁に使用されます。

プレキャスト擁壁

工場で擁壁を造り現場で据え付ける擁壁です。現場では設置作業のみとなるため、作業の省力化が出来ますが、複雑な形の擁壁や、特殊な地盤に設置する擁壁には向きません。

擁壁に関する法律

法律で定められた規制地域などで擁壁を作る場合には、法令で定められた構造計算によって、擁壁の寸法や鉄筋の量を計算するか、もしくは行政が定めている基準によって作らなければなりません。

宅地造成等規制法

「宅地造成工事規制区域」 に指定された区域内で、高さ2メートル以上を超える切土、高さ1メートルを超える盛土の造成工事を行う場合は、あらかじめ都道府県知事の許可を受け、工事完了時には検査を受け、検査済証の交付を受けなければなりません。

その他、切土・盛土を合わせた面積が500平方メートルを超える宅地造成工事を行う場合も同様の手続きが必要です。このような造成地を購入する場合には、売主から検査済証のコピーを受け取り、擁壁の安全性を確認しましょう。

なお、宅地造成等規制法は1961年に制定されました。それ以前に造成された宅地では、現在の基準に合致していない擁壁がありますので注意が必要です。

宅地造成工事規制区域外

2メートル以上の擁壁を作る場合には申請が必要となります。