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白アリ対策 —新築時に知っておきたいシロアリ対策—

シロアリは木材だけを食べると思われがちですが、発泡ウレタンや発泡スチロール系の断熱材、プラスチック、ゴム類なども広く加害します。断熱材については、木材よりも好んで加害されることがわかっています。「コンクリートだから大丈夫」という認識も誤りで、コンクリートに穴を開けたり、打ち継ぎ部の隙間や給排水管の貫通部から侵入するケースが確認されています。

こうした被害を防ぐうえで見落とされがちなのが、「いつ対策を講じるか」という視点です。シロアリ対策は、新築・リフォームの計画段階が最も効果的かつコストを抑えて実施できるタイミングです。

この記事では、新築時に選べる工法の種類と特徴、工法選択の判断基準、工務店への確認ポイント、建てた後の維持管理までを整理します。

シロアリ対策は「計画段階」が勝負

実は新築時にしか施工できない部位があります。壁の中や構造材の奥深くは、建物が完成した後では物理的にアクセスできません。後から追加処理しようとしても、床や壁を解体する必要が生じることがあり、工費が膨らむ原因となります。

リフォーム時にも対策は可能ですが、施工できる範囲とコストの面で新築時とは大きな差があります。既存の建物に後から処理を加えるよりも、工事と同時に行うほうが施工しやすく、費用も抑えられます。

だからこそ、設計・契約の段階でシロアリ対策の工法を意識しておくことが重要になります。「引き渡し後に考える」では遅い場合もあるため、設計・契約の段階から工務店に相談しておくこともご検討ください。

新築時に選べる防蟻工法と特徴

木造建築物では、地面から1メートル以内の柱・筋かい・土台などに防腐・防蟻の措置を講じることが建築基準法施行令第49条で義務付けられています。対策は任意ではなく、法定事項です。

【防蟻工法の種類】

・バリア工法(土壌処理+木部処理)
新築時の標準的な工法です。大きく2つの処理を組み合わせます。

土壌処理:基礎内側や束石周囲の土壌に薬剤を散布し、地中からの侵入経路に防蟻層を形成します。地面から侵入するヤマトシロアリやイエシロアリに対して特に有効です。

木部処理:土台・柱などの木材表面に薬剤を吹き付けまたは塗布します。穿孔して薬剤を注入するケースもあります。なお、工場の段階で防蟻薬剤を木材に高圧で注入する加圧注入処理という方法もあります。薬剤が木材内部まで浸透するため、表面処理に比べて耐久性が高いとされています。

薬剤の効果は概ね5年程度で、定期的な再処理が必要になります。

・ベイト工法
シロアリが好む餌(ベイト剤)を地中のステーションに設置し、シロアリのコロニーごと駆除する方法です。使用薬剤の量が少なく、環境負荷を低減できる点が特徴です。モニタリングの継続が前提となるため、管理体制の確認が必要です。

工法選択の判断基準

どの工法を選ぶかは、住宅の仕様や計画によって異なります。以下を参考に工務店と相談しながら決めるとよいでしょう。

予算とメンテナンス負担
バリア工法は認定薬剤の有効期間が5年であるため、5年ごとの再処理が必要です。ベイト工法はモニタリングの継続が前提となり、管理費が継続的に発生します。初期費用だけでなく、長期的なメンテナンス費用も含めて比較することが重要です。具体的な費用は施工範囲や業者によって異なるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

長期優良住宅の取得を目指すかどうか
長期優良住宅の認定基準(国土交通省)には劣化対策の要件が含まれており、木造住宅であれば床下に点検口を設置し、床下空間に33センチ以上の高さを確保することが求められています。認定取得を視野に入れている場合は、設計段階で工務店に確認しておくとよいでしょう。

初期費用と30年間の維持費を比較する

シロアリ対策は初期費用だけで比較すると判断を誤りやすくなります。再処理・管理費を含めた30年トータルコストで見ることが重要です。以下は延床面積30坪の住宅を想定した目安です。

※目安の料金です。業者・地域・住宅の構造によって大きく異なりますので、工務店や専門業者にご確認いただくことをおすすめします。

工務店・施工業者への確認ポイント

設計・契約の段階で、以下の項目を確認しておくことをおすすめします。

  • どの工法で防蟻処理を行うか
  • 使用する薬剤の種類・成分
  • 保証期間は何年か(認定薬剤の有効期間は5年です)
  • 保証期間終了後の再処理はどこに依頼できるか
  • 床下点検口のサイズと床下高さの確保

床下に点検口を設け、床下の高さを十分に確保しておくことも重要です。いざというときに床下に入れる構造にしておくことが、被害の早期発見・早期対処につながります。

建てた後の湿気管理と定期点検

湿気対策がシロアリ対策の基本
シロアリは乾燥した環境を苦手とし、湿気のある暗所を好みます。建てた後の日常的な対策として最も重要なのが、湿気を溜めないことです。

また、湿気の多い環境は「腐朽菌」の発生も促します。腐朽菌はシロアリと同じ条件(水分・温度)で繁殖するため、湿気対策はシロアリと腐朽菌の両方を防ぐことになります。

日常的に注意したいポイント
換気口を塞がない:基礎の換気口の前に物を置いたり、通風を妨げる使い方は避けてください
玄関まわり・水回りの換気:湿気が溜まりやすく、シロアリが侵入しやすい場所でもあります
浴室・洗面まわりの水漏れ確認:配管の結露・漏水が床下の湿気上昇につながります

・5年ごとの再処理と点検
日本しろあり対策協会の防除施工標準仕様書では、5年を目途に再処理を行うことを推奨しています。新築から5年が経過したタイミングで、施工業者またはシロアリ防除の専門業者に点検・再処理を依頼するとよいでしょう。

リフォームを計画している場合は、工事前に床下点検を行うことをおすすめします。工事後にシロアリ被害が発覚すると二度手間になるだけでなく、修繕コストが大幅に膨らむことがあります。

 蟻道・被害サインを見つけたら

基礎部分や床下の木部に、土でできた細い筋が這うように伸びているのが「蟻道」です。シロアリが糞や土砂を使って作る移動ルートで、これが見つかった場合はシロアリが現在も活動中であるサインです。

被害を示すサイン
空洞音:柱や木材をハンマーで叩くと、健全な木材とは異なる空洞音がする

食痕:木材の表面が薄く残り、内部が食い荒らされている

建具の不具合:被害が進むと柱が下がり、ふすまや雨戸などの建て付けが悪くなる

羽アリの群飛:住まいの周辺で羽アリが一斉に飛び立つ

これらの異常を発見した場合は、速やかに「しろあり防除施工士」などの有資格者が在籍する業者に相談し、調査・駆除処理を依頼するとよいでしょう。

【参考資料】
公益社団法人 日本しろあり対策協会
「シロアリQ&A」「シロアリ防除について」「保証に関するQ&A」「防除施工標準仕様書」

- 建築基準法施行令第49条 - 国土交通省「長期優良住宅の認定基準」
- 国土交通省補助事業「シロアリ被害実態調査報告書」(2013年)