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地震に強い家ってどう選ぶ?注文住宅での耐震対策の見極め方

「大きな地震が来ても、本当に安心できる家にしたい」。
注文住宅を検討される方から、そんな声をよく聞きます。

今回ご紹介するのは、地震への不安から耐震性能に強くこだわりたいH様ご夫婦(40代)のケース。耐震等級や制震ダンパーといった言葉は耳にするものの、工務店ごとに推奨する仕様が異なり、「どこまで必要なのか?」という疑問が大きな悩みとなっていました。

知っておきたいポイント3つ!

 ・耐震等級3は“最低限”の基準かどうか
 ・制震ダンパーなどの費用対効果
 ・地盤調査・地盤改良の重要性と判断軸

耐震等級3は本当に“安心の目安”?

H様ご夫婦は、ハウスメーカーや工務店に相談するたびに「耐震等級3だから安心です」と説明を受けました。確かに耐震等級3は現行制度上の最高ランクで、建築基準法の1.5倍の強さを持つとされています。

ただし実際には、

  •  ・等級3でも「簡易な壁量計算のみ」で済ませる場合がある
  •  ・構造計算(許容応力度計算)を実施しているかで精度が大きく異なる

といった“見えない差”が存在します。ポイントは「等級3を取得しているか」だけではなく、「どの計算方法で等級3を証明しているか」です。

制震ダンパーは入れるべき?

次に悩んだのが制震ダンパーの有無です。
工務店によっては「必須」と言われたり、「コストに見合わない」と否定されたり、判断が揺れました。

制震ダンパーの特徴は:

  •  ・繰り返しの地震動を吸収し、建物の損傷を軽減する
  •  ・初期コストは数十万円〜百万円単位で上乗せ
  •  ・地盤条件や建物形状によって効果に差が出る

費用対効果を考えると、“耐震等級3+構造計算(許容応力度計算)”が前提にあって、その上で余力があれば検討するものと整理するのが現実的です。

地盤調査と改良、どこまで必要?

H様が最後まで悩んだのは、地盤改良の判断でした。

  • 表層改良(地盤を固める工事)
  • 鋼管杭やコンクリート杭の打設

これらは地盤調査の結果によって選択されます。ただし、調査方法や判定基準も工務店によって差があり、「ある会社では改良不要と言われたが、別の会社では地盤改良を勧められた」というケースも実際にあります。

ここで大事なのは、第三者の解析やセカンドオピニオンを取ること。地盤は一度失敗するとやり直しがきかず、最終的な建築コストに大きく影響します。

H様が選んだ答え

最終的にH様ご夫婦は、

  •  ・耐震等級3を構造計算(許容応力度計算)付きで確認
  •  ・制震ダンパーは、後付けも技術的には可能だが大掛かりな工事になるため、
  •   「今の予算と安心感のバランス」で導入を見送る判断
  •  ・地盤改良は地盤解析専門会社の意見も取り入れて判断

という形を選びました。

「“全部盛り”にするのではなく、根拠を持って取捨選択できたことが安心につながった」と話していました。

マッチングコーディネータの視点!

これまでの相談で多いのは、「等級や装置の名前は知っているけど、優先順位が整理できない」というケースです。

工務店に確認すべきは:

  •  ・等級3を「どの計算方法」で証明しているか
  •  ・制震ダンパーは標準かオプションか、その費用対効果はどうか
  •  ・地盤調査の判定根拠は何か

さらに、2025年4月の法改正で「4号特例」が縮小され、木造2階建て住宅は壁量計算だけでは建てられず、構造安全性に関する審査が必須となります。一方で、延べ200㎡以下の木造平屋住宅については、従来どおり壁量計算等で安全性を確認すれば建築が可能です。

耐震は「法律でどこまで必要か」と「家族がどこまで安心したいか」、この両面で判断することが大切です。不安を抱えたまま工務店任せにせず、自分の優先順位を整理してから相談に臨むことが、納得できる家づくりへの近道です。

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