目次
「自然の中で穏やかに暮らしたい。でも、長野の冬は都内とは桁違い…。」
首都圏から長野県への移住を検討されるH様ご夫婦(50代)。
お子様はすでに独立し、夫婦二人のこれからの暮らしを思い描いている最中です。
定年後を見据えて移住を検討するなか、「自然豊かな環境の魅力」と「寒さ・雪・暮らしの現実」とのあいだで、いくつもの悩みと向き合うことになりました。
後悔しないために知っておきたいこと
- ●長野県で注文住宅を建てる際に直面しやすい“寒冷地のリアルな課題”
- ●ZEH+薪ストーブを組み合わせる際の利点と注意点
- ●地元工務店選びで失敗しないためのチェックポイント
想像以上だった長野の冬。移住前に知っておきたい寒冷地のリアル
H様が候補地として見ていたのは、長野県の中でも標高が高く、四季の移ろいが美しいエリア。
ただし、冬は日中でも氷点下近くまで冷え込むこともあり、実際に現地のモデルハウスを見学してみて気づいたのは、
- ●水道管の凍結リスク
- ●屋根雪の落下と雪庇の問題
- ●暖房費の想定外の高さ
- ●結露による断熱材の劣化リスク
これらはネットやパンフレットで情報としては知っていたものの、実際に現地で肌で感じると「想像以上だった」と思わされる現実でした。
「冬にどう暮らすか」を起点に考えると、土地選び・間取り・暖房方式まで設計全体の発想がガラッと変わります。
ZEH住宅×薪ストーブという二本柱の魅力と落とし穴
H様が注目したのは、再生可能エネルギーを活用したZEH(ゼロエネルギーハウス)仕様の導入。
そこに「寒さ対策」と「災害時の安心」を加味して、薪ストーブの併用も検討に入りました。
▽ ZEHの魅力
- ●太陽光発電で光熱費を大幅カット
- ●高断熱・高気密で冬も暖かい
- ●国の補助金を活用できる可能性
▽ 薪ストーブの強み
- ●停電時でも熱源が確保できる
- ●遠赤外線の暖かさが心地よい
- ●暮らしに“手をかける時間”が生まれる
しかしその一方で、薪ストーブには
- ●煙突設置の可否や火災リスクの管理
- ●煙や灰に対する近隣配慮
- ●薪の調達や保管スペースの確保
といった、現地での暮らし方と密接に関わる現実的な課題も存在します。
🟡マッチングコーディネータの視点!
「地方に移住して、自然の中でのんびりと──」
そんな夢に寄り添う中で、私たちが大切にしているのは、「冬の暮らしをどうするか?」という視点です。
実際のご相談では、次のようなアドバイスをさせていただきました:
- ●“断熱等級○等級”の数字だけで判断せず、実際の住まい体験を重視すること
- ●地元で冬を3回経験した人の話を聞く機会を持つこと
- ●外構(除雪スペース、薪置き場、通路の凍結対策)を早い段階で設計に反映すること
設計の中で「家の中の快適性」だけでなく、「周囲とのつながり方」や「暮らしのリズム」も一緒に考えることで、ようやく“本当の意味での地方移住”が形になっていくのだと感じています。
寒冷地仕様の住宅会社を選ぶときの“見るべきポイント”
H様が検討された住宅会社選びでは、次のようなポイントを重点的にチェックされました。
見るべきポイント | 理由 |
---|---|
給排水の凍結防止設計が標準か | 地元対応の実績があるかどうか |
屋根雪や落雪防止の知見があるか | 設計の安全性に直結する |
薪ストーブ設置後のメンテサポート | 専門知識の有無で施工品質が変わる |
太陽光と蓄電池の導入実績 | ランニングコストと補助金の最適化ができるか |
特に、“施工だけではなく暮らしのことを一緒に考えてくれる工務店かどうか”は、H様ご夫婦にとって非常に大きな判断材料となりました。
自然と暮らす夢に、現実という土台を重ねて
「自然が好き」「都会の喧騒から離れたい」──
その思いに真っすぐ応えてくれる土地は、確かに長野にはあります。
でもその土地で「寒い冬の朝に快適に目覚められる家かどうか」を考えることは、“暮らす”ことの本質を捉えた設計の第一歩です。
H様のように、夢と現実の間にある細かな疑問をひとつずつクリアにしていくことが、後悔のない地方移住への近道になるはずです。