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終の棲家の正解とは?老後に備えるバリアフリーの工夫

「もしもの時は施設に入ると思ってたけれど、やっぱりこの場所がいいんです。」

そう話すのは、築40年の自宅を建て替えることを決めたY様ご夫婦(60代)。2人のお子さんはすでに独立。いまはご夫婦ふたりで穏やかに暮らしています。

“人生最後の住まい”をどう整えるか。
「今は元気。でも10年後はわからない」
そんな想いから、将来の介護まで視野に入れたバリアフリー住宅の建て替えを決意されました。

1.施設に入るか、建て替えるか──迷い続けた2年

最初にご相談いただいたのは、まだ「建て替えか、売却か」を迷っていた頃でした。

「正直、施設に入る方が現実的かなと思ったんです。維持費もかかるし、今の家は段差だらけ。夫が膝を痛めて、階段が少ししんどくなってきて…」

けれど決断の背中を押したのは、「この町に住み続けたい」という気持ちでした。

  • ・行き慣れた商店街
  • ・顔見知りの隣人
  • ・病院や公民館が歩ける範囲にある

それは、不安が増える年齢だからこそ、大きな“安心材料”でした。

2. フルバリアフリー化にふみ切った理由

建て替えを決意したあとも、当初は 「最低限の段差解消」で十分では? という考えがありました。

でも、建築士との打ち合わせを重ねるうちに、Y様は考えを改めていきます。

  • ・「転倒後、車椅子になったら寝室から浴室までどう動く?」
  • ・「介助する側にも通れる幅はあるか?」

そして最終的には、

  • 玄関から寝室、水回りまで完全段差ゼロ
  • 全ての扉を引き戸化+幅広設計(90cm→105cm)

という、将来の変化を前提にしたフルバリアフリーに踏み切りました。

🔶マッチングコーディネータの視点!

「バリアフリー」とひとことで言っても、必要な対応は人それぞれです。

私たちが印象的だったのは、Y様が「介護する側の動きやすさ」まで具体的にイメージされていたことです。

これは、

  • ・過去にご自身の親御さんの介護を経験されたこと
  • ・ご友人が一人で介護されて大変だったという話

など、実際の体験から来ていました。

だからこそ、私たちは「介護される側」と「介護する側」、両方の視点を持って暮らしを言語化するお手伝いをしました。

3. 平屋にこだわらず「1階で完結する家」に

Y様の敷地は約38坪。希望する機能をすべて平屋で収めるのは難しい状況でした。

そこで選んだのは、

  • 1階にLDK+主寝室+水回り+納戸
  • 2階に予備室(将来ヘルパーさんや来客用)

という“生活のすべてが1階で完結する家”というスタイル。

「階段を使わない日がほとんどです。今は2階を物置にしていますが、娘が泊まりに来ても対応できます」

Y様にとっては、“平屋じゃないけど平屋的に暮らせる”という選択でした。

まとめ|「この場所で暮らし続ける」ための家づくり

老後の住まいは、体の変化に合わせるだけでなく、「どんな気持ちで暮らしたいか」も軸になります。

Y様が建て替えを決めたのは、「施設ではなく、この町で夫婦で暮らしたい」という気持ちから。
その想いに寄り添った家づくりこそが、安心と誇りを持てる終の棲家になるのだと、私たちも教えていただきました。

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