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暮らしは変わる。変化に寄り添う間取りの考え方!

家を建てるとき、多くの人が思い描くのは「今の自分たちの暮らし」に合った住まいです。未来のことはまだわからない。でも、今の自分たちにとって最善の選択をしたい。その気持ちはとても自然です。

実際に、25年前に家を建てたYさんも、当時の暮らしや将来の家族像をしっかり考えながら家づくりに向き合いました。今回はそのエピソードから、「今」と「これから」をつなぐ間取りの考え方についてひもといてみたいと思います。

新築時、「こうありたい」と願って選んだ間取り

家づくりのなかでYさんが取り入れたのは、以下のような工夫でした。

子ども部屋を広くとり、将来的に2つの部屋に分けられるように
あらかじめドアを2つ設け、成長に合わせてプライベート空間を確保できるような設計にしました。

リビングに隣接した和室
子育て中に寝かせたり、遊ばせたり、またお客様の対応など、多目的に使える空間として活用できるようにしました。

対面式キッチン
家事をしながら子どもの様子を見守れるように、当時も今も人気のスタイルを取り入れました。

いずれも、その時点での家族の暮らしにしっかりと向き合い、「こう暮らしたい」という思いを形にしたものでした。

そして25年後──ライフスタイルとのズレに気づく

時が経ち、子どもたちが成長して家を巣立ち、暮らし方は変化していきました。

子ども部屋を広くとり、将来的に2つの部屋に分けられるように
実際には子どもが同性で仲が良かったため、分ける必要がありませんでした。また、分けようかと考えたタイミングは教育費など出費も多く、工事をする余裕もなく、そのまま使い続けました。

リビングに隣接した和室
子どもが小さい頃は活躍しましたが、成長とともに使う機会が減り、やがてデットスペースに。宿泊する来客も少なく、空間としての役割を果たしづらくなっていきました。

対面式キッチン
実際の生活では、キッチンに立っている時間帯と子どもがいる時間帯が重なることは少なく、キッチンから家族との関わりを持つという想定は思ったほど機能しませんでした。

どれも「その時の最善」であったことに変わりはありません。ただ、暮らしが変わることで、間取りの役割や使い方にも“ズレ”が生まれていきます。

「トレンド」ではなく、「自分たちの暮らし」を軸にする

実は、間取りにも、時代ごとのトレンドがあります。それ自体が悪いわけではありません。実際に、多くの人が「いい」と思うスタイルには理由がありますし、参考になる部分も多いでしょう。

ただし、それをそのまま取り入れるのではなく、自分たちのライフスタイルに照らしてみることが大切です。


・洗濯はどこで干すのか?

・子ども部屋は、いずれ夫婦それぞれの趣味部屋になるかもしれない?

・アイランドキッチンは使いやすいの?

・ファミリクロークは本当に必要なの?

・家事をする人が毎日どのように動くの?

こうした「現実的な視点」と「未来のイメージ」を重ね合わせて考えることが、流行や周囲に流されない、自分たちらしい家をつくる一歩となります。

建てたあとも、暮らしは続いていく

家づくりは、「建てたら終わり」ではありません。暮らしに合わせて少しずつ手を加え、必要に応じてリフォームをする。そうした“育てていく住まい”の考え方も、今後ますます重要になっていくでしょう。

新築時には、すべての未来を見通すことはできません。でも、「変わるかもしれない」という前提で考えることができれば、その後の暮らしにもっと余白が生まれます。

暮らしを見つめることから始めよう

家づくりは、夢や希望をかたちにする時間です。そしてその中には、「これからの暮らしをどう過ごしたいか」という、自分たちの本音を掘り下げるプロセスが含まれています。

トレンドや人のスタイルをなぞるのではなく、自分たちの家族構成や日々の営みをしっかり見つめること──それが、長く愛せる家づくりの第一歩です。

「今」の理想だけでなく、「これから」を柔らかく想像してみること。その想像力が、未来の暮らしの質を大きく変えてくれるはずです。

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