「家はエネルギー、移動体、家電、シニア向けサービス等の産業の交差点」
これは「新しい常識で都市に住もう」との理念を掲げるHOUSE VISION(ハウスビジョン)の発起人でデザイナーの原研哉氏の言葉です。
2017年になって、様々なモノとインターネットがつながる「IoT」(Internet of Things)の動きが加速し、まさに今、日本の住宅のあり方が変わろうとしています。
住宅業界でもIoTは重要なキーワードになっており、経済産業省の主導のもとで、大手ハウスメーカーや住宅設備会社、電機メーカーやIT企業などがさまざまな実証実験がスタートしています。
ただ、現状は各社があらゆる可能性を模索している段階でもあり、私たちが日常生活の中でリアリティを感じる「住宅のIoT」は、まだ少し縁遠い感じがするのではないでしょうか。
身近な「住宅のIoT」
ひとつ身近な例で考えてみましょう。
たとえば、ご存知の方も多い掃除ロボットの「ルンバ」。
●ルンバ/アイロボット
本体のボタンを押せば、掃除スタート。8月には一部の限定モデルを除いてルンバの全タイプがWi-Fiでネットワークとつながり、スマーフォンのアプリを使えば、外出先から掃除をスタートさせたり、スケジュールを設定することもできます。
2002年に第一世代モデルが発売されて以来、家づくりの現場では、ルンバを採用することを前提に「床に段差を付けないで欲しい」「ホームベース(ルンバの充電器)の格納場所を設けたい」という要望をちらほらと聞くようになりました。
夫婦共働き、子育て中の忙しい世代にとって、日常の家事が効率化され、実のあることに時間を割けるようになることは嬉しいことです。
でも、私と同じように不精な方はまだ不満に思うかもしれません。「ルンバのボタンを押さないと掃除してくれないの!?」と。
家のソファーで本を読んでいる時に、よっこらしょと腰を上げてルンバのホームベースまで行き、腰を屈めてボタンを押すのは面倒。外出先なら仕方がないにしても、家にいるのにわざわざスマートフォンのロックを解除し、アプリを開いて設定を入力するのも面倒なことです。
そんな課題を解決してくれそうなのがスマートスピーカーなのです。