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在宅介護に備える家|ベッド・浴室・リフト動線の設計

「施設に入る前に、できるだけ自宅で介護できる準備をしたくて…」

そう話すのは、千葉県内にお住まいのT様ご夫婦(50代)。ご主人のお母様が少しずつ歩行に不安が出てきたことをきっかけに、「いずれは在宅介護が必要になるかもしれない」と、家づくりを見直すことにしました。

“介護が必要になる前”に、住まいをどう整えるか。 「自分たちも歳をとる。そのとき後悔しない間取りにしておきたい」 そんな想いから、T様の介護を見据えた家づくりが始まりました。

1.施設に入るか、自宅で看るか──悩んだ末の決断

最初にご相談いただいたのは、お母様が転倒された直後のことでした。

「入院ほどではなかったけれど、もし歩けなくなったら…と思うと心配で」

この一件をきっかけに、施設入所か、自宅での介護かを真剣に考え始めたといいます。

・見守りながら暮らしたい
・慣れた場所のほうが安心できるのでは?
・夫婦ともに将来の介護を見据えた設計にしておきたい

T様ご夫婦は、最終的に「家族で支えあえる家」に建て替える決断をされました。

2.段差よりも“動線の短さ”が大事だった理由

T様が一番に望まれたのは、「寝室からトイレ・浴室までが近いこと」でした。

・夜間にトイレへ行くときの安全性
・浴室までの移動にリフトが使えるか
・将来的な介助者の導線も考慮

そこで工務店から提案されたたのは、

・主寝室~洗面~トイレ~浴室を回遊動線でつなぐ間取り
・天井走行リフトを取り付け可能な構造計画
・訪問介護や訪問看護が利用しやすい玄関からのアクセス

という「将来の変化を見越した設計」でした。

★マッチングコーディネータの視点!

「介護の家」と聞くと「バリアフリー=段差がない」ということを連想される方が多いのですが、大切なのは“介護する人の動線”です。

T様は、

・ご自身の親御さんの介護経験
・ご主人の姉夫婦が在宅介護で苦労した話

から、「介助する人のしんどさ」もよく口にされていたのが印象的でした。

そこで、

・将来リフトを取り付ける可能性
・ベッドや車椅子の配置を考えた通路幅
・訪問看護の機材搬入や手洗いスペースのこと

など、介護される側だけでなく、介護をする側のご要望も忌憚なく工務店にお伝えいただくことをおすすめしました。

3.平屋にするか、1階完結の2階建てにするか

当初は「平屋」にこだわっていたT様。けれど、

・2階を“介護に関わらない空間”として活用できる
・1階にすべての生活機能を集約すれば問題ない
・将来、在宅ヘルパーの休憩室や来客の部屋としても使える
・同じ面積なら2階建ての方がコストパフォーマンスがいい

という考えから、

・1階にLDK+主寝室+水回り+納戸
・2階に将来用の予備室

という“1階完結型の2階建て”を選択されました。
T様は「階段はあるけど、普段は使わない構成にしました。将来、誰かが泊まって介助してくれるときにも役立ちそうです」とのことでご自身の選択にご満足のようです。

4.まとめ|介護の“しやすさ”を最初から

T様が選んだのは、“まだ元気なうちに備える”家づくりでした。

・寝室~トイレ~浴室の回遊動線
・リフトや介助に備えた天井・通路構造
・訪問介護やヘルパー動線の配慮

それは、「将来の変化に対応できる柔軟な家」であると同時に、「介護する側・される側どちらも尊重する設計」でもありました。
T様の場合はこのような選択になりましたが、これは必ずしもすべての方にとっての正解ではありません。それぞれのご家族によって、お考えも優先順位も様々ですので、結果的に導かれる形はT様のケースとは異なって当然です。
こうしたご自身にぴったりあう家づくりができるのは注文住宅であればこそ。状況や要望に真摯に耳を傾け、お考えを引き出してくれる工務店との出会いが家づくりを成功に導いてくれるはずです。