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自宅にジムをつくる方法  ー 筋トレ派も満足の注文住宅

ホームジムはあこがれるけれど・・・

Y様ご夫婦(夫 44歳、妻 40歳)は、共働きと子育てのあいまにジム通いを続けてきました。ところが、子どもが小学校に入ったころから子供の習い事なども増え、時間のやりくりが厳しくなり「自宅でトレーニングできるホームジムスペースがあればいいのに」という思いはますます強くなりました。ただ、夢を形にするにはハードルも多く、次のような悩みが現実として立ちはだかりました。

・ダンベルやバーベル、パワーラックなど重機器の設置で“床が抜ける”のではないか
・騒音・振動が家族や近隣に対して気がかり
・補強・防音構造のコストがどれだけになるか見当がつかない
・ジムに必要な広さ・高さ・動線を確保できるか

「ホームジムをつくりたいけれど、家がボロボロになったら意味がない……」という葛藤を抱えながら、設計相談を始めることにしました。

ホームジムをつくるためのポイント3つ!

・ジム設置における主要なプラン選択肢
・それぞれのメリット・デメリット(防音性・コスト・動線視点)
・実際に選ばれたプランの背景・妥協点・工夫

1階防音+補強型 vs 離れ・別棟型

自宅にホームジムをつくるには、主に次の2つの方向があります。

【1階防音・補強型】
自宅の1階内部にジムスペースを設け、床・壁を補強し、遮音構造を施す方式です。

●メリット
・家の構造内に収まるので移動距離・雨天アクセス性が良い
・既存の基礎・屋根を使うのでコストを抑制できる
・管理がしやすく、日常的な動線としても使いやすい

●デメリット
・防音・振動対策が不十分だと隣室への影響が出やすい
・重量機器の設置にあたり既存の床梁や床スラブに新たな強化、補強が必要
・設備仕様を上げると初期コストが膨らみやすい

【離れ・別棟型】
本体住宅から少し離れた場所(庭区画、ガレージ隣接、離れ小屋など)にジムを設ける方式です。

●メリット
・防音・振動干渉のリスクが本体から分離でき、設計自由度が高い
・新たにスペースを作るため、既存部への構造負荷制限が緩く、天井高や空間ゆとりも検討しやすい
・将来的にジム用途以外への転用も可能

●デメリット
・配管・電気・空調など設備配線が別途必要になりやすい
・離れの場合、雨風・動線負荷が増える場合も
・別棟分の構造コストがかかる

生活利便性とコストから選択した結論

Y様の敷地は広さが十分な郊外地。ガレージのとなりに小屋を建てることも検討しましたが、インフラ配線コストが思ったよりかかることがわかりました。また、夜・早朝でも使いたいという願望も強かったため、浴室までの移動(動線)の負荷がネックになりました。

そこで、既存家屋の1階空間一部に防音・補強を施してジムスペースをつくる方向に決定しました。

設計で工夫した点、妥協した点

Y様が設計打合せで提案された具体的な点は以下のような内容でした。
・床スラブの厚みを増し、梁補強を追加
・床裏には防振マット+合板+ゴムマットの三層構造を導入(重量分散・衝撃吸収)
・周壁は吸音材+遮音シートで隣室・外壁への音漏れを抑制
・ジム室と隣室との境界には通気スリットを設けず、閉じた構造とした

妥協した点としては、ジムの床面積を若干抑えたことです。本来は10畳くらい取れれば理想でしたが、家のバランスや他の部屋用途との兼ね合いで6〜7畳に。器具を絞って将来買い足し対応する計画にしました。

もうひとつは防音仕様のグレード。最上級遮音仕様にするとコストが跳ね上がるため、遮音性能を確保しつつコストが適正になる仕様を選びました。

ジムに通っていた2人分の会費(ランニングコスト)を長期的に算出すると、今回の費用はそれほどコストアップにならずに済みました。時間を気にせず、深夜でも気兼ねなく使えること、ジム → 浴室への移動が便利なので、「もっと早く計画を実行すればよかった」と大満足の工事が実現しました。

マッチングコーディネータの視点!

ホームジム付き住宅のニーズは年々増えています。器具の数や大きさ、重さ、使う頻度などを設計初期段階でお伝えすることで、構造補強や遮音性の度合い、などを踏まえた内容の提案が可能になります。

ご家族でどんな器具を取り入れたいか、使う頻度などから具体的に書き出し優先順位をつけてみましょう。