アンケート結果を見ていて感じたこと
先日、株式会社家がほしいが親世帯と同居している496人を対象に実施したアンケートを見ていて、非常に興味深い結果がありました。
親世帯との同居で「ストレスを感じることがある」と回答した人は、全体で90.9%にのぼります。
■同居ストレスの理由 トップ3
生活リズムが合わない(33.9%)
プライバシーがない(20.6%)
食生活が合わない(11.3%)
この結果を見て印象的だったのは、ストレスの原因が何か重大なトラブルや事故ではないということです。寝る時間や起きる時間、食事のタイミング、テレビの音量、エアコンの温度設定など、どれも毎日の暮らしの中にある「ささいなこと」ばかりです。
親のことが嫌いなわけでも、仲が悪いわけでもない。それでも、毎日の小さな気遣いや我慢が静かに積み重なっていくことで、知らず知らずのうちに大きなストレスになっていく——。そんな実態が浮き彫りになっています。
本音は家づくりが具体的になってから見えてくる
ザ・ハウスにも、親世帯との同居や二世帯住宅のご相談が数多く寄せられます。
計画の初期段階では、ご家族で話し合われても「一緒に住めれば大丈夫だと思う」「詳しいルールは、住み始めてからゆっくり考えればいいよ」とおっしゃるケースが少なくありません。もちろん、その時点ではご当事者みなさまが本気でそう思われています。
しかし、家づくりが進むにつれて、ご家族の意識は以下のように変化していきます。
【1】計画の初期
「家族みんなで仲よく暮らせればそれで十分」と、抽象的なイメージだけで進めてしまう段階。
【2】間取りの検討時
「朝早い親の寝室はどこ?」
「LDKは分けても、お風呂の共用は本当に大丈夫?(1人の使用時間を考えると意外と大変!)」
など、具体的な生活リズムが見えてくる段階。
【3】打ち合わせの終盤(契約直前)
「実は完全分離にしたい」「子どもに遠慮して今まで言えなかった……」
それまで隠れていた本音やズレが一気に表面化する段階。
こうした本音が出てくるのは、決して悪いことでも珍しいことでもありません。最初は具体的にイメージできていなかった暮らしが、契約や設計という節目を経て「現実的な日々の生活」として立体的になってきたからこそ、それまで隠れていた価値観や希望が自然と表に出てくるのです。
本音を十分に話し合わないまま計画を進めてしまうと、契約直前になってご家族の意見がぶつかり、計画自体が取りやめになってしまうこともあります。トラブルの原因は建物の設計ではなく、「家族同士のちょうどいい距離感」について事前によく話し合えていなかったことにあります。
間取りの前に話しておきたいこと
アンケートで上位に挙がったのは「生活リズム」「プライバシー」「食生活」といった日々の生活習慣でした。だからこそ、親世帯との同居を考える際は、間取りや設備の仕様を決める前に、まずご家族で以下のテーマについてじっくり話し合っておくことが大切です。
■ 暮らしの距離感: 一人で静かに過ごせるプライベートな空間や時間は確保できているか
■ 生活費とお金の管理: 電気代や水道光熱費の分担ルール、将来のメンテナンス費はどう共有するか
■ 家事・育児の協力体制: どこまで助け合い、どこから互いの領分に干渉しないか
設計の工夫で解決できる課題もたくさんあります。しかし、ご家族間での「暮らしの希望」が整理できていなければ、どんなに素晴らしい間取りであっても正解にはなり得ません。
同居を成功させる鍵は「事前の本音」と「プロの活用」
アンケート調査では同居ストレスの解消策として「別居」を望む人が81.4%という結果も出ていますが、現実には経済面や子育て・介護の観点から同居を選択されるご家族も大勢いらっしゃいます。
大切なのは、「完全同居か別居か」という極端な二択ではなく、「お互いが無理なく笑って過ごせるちょうどいい距離感はどこなのか」を丁寧に探っていくことです。
後から「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、まずはオープンに話し合ってみてください。
とはいえ、いくら親子であっても面と向かって本音を話し合うのは大変な作業です。
そんなときは、工務店や建築家といった「第三者」をうまく頼ってください。プロが双方を別々にヒアリングして本音を引き出したり、お互いには直接言いにくい問題点を間に入って指摘したりすることで、感情的にならず納得のいく着地点が見つけやすくなります。


