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家づくりでよくある誤解のひとつが、「契約したら、その金額はもう一切変わらない」という認識です。実際には、契約の内容とタイミングによって扱いが異なります。
請負契約で決まるのは「原則の金額」
注文住宅では、工務店と工事請負契約を結びます。この契約書には、
・建物の仕様
・工事内容
・請負金額
が記載され、原則として、その金額が確定金額になります。つまり、
・契約時点で確定している仕様
・契約図書に含まれている内容
については、工務店側の都合で勝手に金額を上げることはできません。「契約したのに、同じ内容で金額が上がった」ということは、本来あってはならないのです。
それでも金額が変わるケースがある理由
では、なぜ「契約後も金額が変わった」という話が出てくるのでしょうか。主な理由は次の3つです。
【1】 契約後に仕様変更・追加をした場合
コンセントの追加、設備のグレードアップ、造作家具の変更など、建て主側の希望で内容が変わった場合は、その分が増減します。これは資材高騰とは関係なく、変更工事(変更契約・覚書)として扱われます。
【2】契約時に「未確定項目」が含まれていた場合
契約時点で、
・キッチンや設備が仮決め
・外構工事が概算
・地盤改良が未確定
といったケースでは、契約金額があくまで「暫定」になっていることもあります。この場合、最終的に確定した内容に応じて、金額が増減する可能性があります。
特に近年は、断熱材や配管材、設備部品など、原材料価格の影響を受けやすい部材が増えています。こうした部材には、ナフサ由来の樹脂素材が使われていることも多く、契約時点で価格を読み切れないケースが出やすくなっているのが実情です。
【3】契約書に「価格変動条項」が入っている場合
近年の資材価格の不安定さを背景に、ごく一部では、「一定期間を超えた場合、材料価格の変動分について協議する」といった条項が盛り込まれるケースも見られます。
ただし重要なのは、一方的に金額だけを請求されることはない、という点です。市場環境の大きな変動など、工務店側の努力だけでは吸収しきれない事情が生じた場合でも、その内容や背景についてきちんと説明があり、建て主と協議したうえで判断されることが大前提となります。
何の説明もなく、後から追加請求が行われる──そうした進め方は、本来あるべき姿とはいえません。
お客様が必ず確認しておきたいポイント
契約前には、次の点を必ず確認しておくと安心です。
・この契約金額は「最終確定金額」か
・未確定・概算になっている項目は何か
・価格変動が起きた場合、どの範囲が対象になるのか
・変更が生じた場合、必ず事前に金額提示があるか
「あとで揉めない」ことは、工務店のためでもあり、建て主自身のためでもあります。
家づくりは「契約後」こそ対話が大事
契約はゴールではなく、スタートです。特に今のように先が読みにくい時代では、「どこまでが確定でどこからが変動し得るのか」を、お互いに理解しながら進めることが、納得できる家づくりへの一番の近道になります。
「契約したから安心」ではなく、「契約内容を理解しているから安心」。
そんな関係で、家づくりを進めていきたいものですね。

