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登記簿の見方

登記簿謄本と登記事項証明書

登記簿謄本とは紙の登記用紙から登記内容を写したものですが、今では紙を用いたバインダー方式の登記簿を備えている登記所はほぼなくなりました。

最近は紙の登記簿に代わり登記内容を磁気ディスクに保存しています。また、これをプリントアウトしたものを登記簿謄本の代わりとして使うようになりました。これを登記事項証明書といいます。

その名残りで、不動産取引においては今でも「登記事項証明書」のことを「登記簿謄本」と言うことが少なくありません。登記簿謄本と登記事項証明書の内容は同じですが、登記事項証明書の方が現代的で見やすくなっています。

文字は横書き、数字は算用数字が使われています。抹消された内容はその文字に下線が引かれます。以後の説明では、登記事項証明書の見方を説明します。

登記簿の構成

不動産登記簿は、一筆の土地、または一個の建物につき、一組の用紙が用いられます。一筆とは一区画の土地、一個とは一件の建物という意味です。

一組の登記用紙は「表題部」・「甲区」・「乙区」という3つの部分から構成されています。

登記簿の見方

1.表題部

その不動産の所在地や大きさなど物理的な現況を表示する役割があります。表題部の内容に変更が生じたときは変更日より1ヶ月以内に所有者が変更申請をする義務があります。

■土地の場合

(1)所在・地番
その土地のある場所を示す登記簿上で使われる住所のようなものですが、私たちが日常使っている住所(「住居表示」といいます)とは別のものです。

販売用のチラシには分かりやすいように住居表示が記載されていることが多いようですが、所在・地番が記載されていることもあります。所在・地番から住所を見つけることは困難ですのでその際は不動産会社に問い合わせてください。なお、売買契約書には通常、所在・地番が記載されます。

(2)地目
その土地が何に使われているかを表しています。主なものに、宅地・田・畑・山林・原野・公衆用道路・雑種地などがあります。

地目の変更があった場合、法律上では、所有権の名義人が変更した日より1ヶ月以内に変更の申請をする義務がありますが、現実には現況と登記が必ずしも一致せず、現況では宅地でも登記簿上は畑ということがあります。

なお、税金対策のために地目を宅地から畑などにするという話がありますが、固定資産税などの課税評価は登記上の地目に関わらずあくまでも現況によって判断されます。

(3)地積
その土地の面積のことです。単位は平米で、地目が宅地・鉱泉地の場合は小数点以下2桁まで、それ以外は10平米を超えていれば小数点以下は記載されていません。

登記簿上の面積と実際に測量したときの面積が一致しないことがあります。税金対策や未発達な測量技術が原因と言われています。

その不一致によって、登記簿上の面積と実測した面積のどちらを売買対象面積とするか、しばしば争われることがあります。例えば、登記簿には100平米とあり、それを信じて購入したが実際は98平米しかない、買主は実際に使える土地が2平米減って損をした、というケースです。

そのようなトラブルにあわないために、売買対象面積の根拠(登記簿の面積なのか、実測面積なのか)を不動産会社に確認することが大切です。

■建物の場合

(1)所在
その建物が建っている土地の地番が記載されます。
例えば、土地の地番が「○○町1丁目2番3」だったとすると、建物の所在は「○○町1丁目2番地3」と記載されます。

(2)家屋番号
原則として地番と同じ番号になります。上記の例の場合、丁目以下をとり「2番3」となります。
ひとつの土地に複数の建物がある場合は、「2番3の2」のように支号がつきます。

(3)種類
その建物が何に使われているかを表しています。主なものに、居宅・共同住宅・店舗・事務所・車庫・倉庫などがあります。

用途が複数になる場合「居宅・店舗」のように記載されることもあります。

(4)構造
建物の主たる部分の構成材料、屋根の種類、階数の3つを表示します。
例えば、「木造スレート葺二階建」、「鉄筋コンクリート造陸屋根三階建」のように記載されます。

(5)床面積
各階の面積のことです。単位は平米で、小数点以下2桁まで、それ以下は切り捨てられます。

建物を増築、あるいは一部を取り壊して床面積の変更があった場合、変更した日より1ヶ月以内に変更の申請をする義務がありますが、現実には現況と登記が一致しないことがあります。

2.甲区

その不動産の所有権に関することが記載され、過去から現在に至るまでの所有者が分かります。土地の場合、建物の場合、記入の方法は同じです。

甲区の内容に変更が生じたとしても変更申請をする義務はありません。しかし「契約の成立と権利の移動」で説明したように他人から権利を守るために登記を行なうことが通常です。

(1)原因
どのような理由(売買・相続など)で所有権が移転したのかを記載します。

(2)所有者
所有者の住所と名前が記載されます。住所に変更があった場合は変更登記をしますが義務ではありません。

3.乙区

その不動産の所有権以外の権利に関することが記載されています。所有権以外の権利とは、抵当権・地上権・地役権などのことです。土地の場合、建物の場合、記入の方法は同じです。

甲区同様に変更が生じても変更申請をする義務はありませんが、権利を守るためにほとんどの場合、登記を行ないます。

乙区で最も目にする機会が多いのは、住宅ローンを借りた場合の抵当権です。債権額・債務者の氏名や住所・抵当権者の氏名や住所などが記載されています。

ここに「共同担保目録」という記載がある場合があります。共同担保とは、ひとつの債権の担保として複数の不動産に抵当権を設定することをいい、複数の不動産をまとめて一覧表にしたものが共同担保目録です。

ところで、抵当権・地上権・地役権など乙区に記載された権利は、所有権が移転したときに自動的に消滅するものではなく、次の所有者にそのまま引き継がれます。

例えば、前の所有者に対する抵当権がついたまま所有者となってしまった場合、抵当権は有効ですので抵当権者に不動産を売却されてしまい、所有権を失ってしまうことがあります。

通常の売買契約では、買主が売主に不動産の代金が支払われると同時に抵当権の抹消をすることになっていますので、このようなトラブルは少ないと思いますが、乙区に記載がある場合、契約成立後にその権利が残るのか、抹消されるのかを不動産会社に確認したほうが安全です。