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写真/アトリエのある家|北窓・光と収納の設計術

“作品づくりに没頭できる場所”がほしい

今回ご紹介するのは、写真とアート制作を趣味とし、「家の中に集中できるアトリエをつくりたい」と考えていたI様(40代・神奈川県)の事例です。

求めていたのは、

・安定した光で撮影・制作ができる空間
・現像や作業に必要な換気・シンク・収納
・作品や道具を“見せずにしまえる”環境

という、クリエイターならではの3つのテーマでした。
しかし、検討していた土地は南北に細長く、

「北側に十分な窓が取れない」
「アトリエをつくるとLDKが狭くなる」

という課題がありました。
アトリエづくりは“光・換気・収納”の3つを同時に整える必要がある、非常に専門性の高いテーマなのです。

後悔しないために知っておきたい3つのこと

1.写真・アート制作には“北向きの均質光”が最適
2.現像や塗料作業には“換気+シンク”が必須
3.作品・道具は“見せない収納”で集中力が保たれる

光・換気・収納がつくる“制作環境のジレンマ”

I様は、

・写真撮影(物撮り・ポートレート)
・アクリル画・水彩画
・簡易的な現像作業

など、多様な制作活動を行っていました。
そのため家づくりでは次のような要望がありました。

・北向きの柔らかい光で撮影したい
・現像や洗浄のためにシンクがほしい
・絵の具や溶剤を使うので換気を強化したい
・作品や道具を大量に収納したい

しかし、検討していた間取りでは、

・北側に隣家が迫り、採光が取りにくい
・換気扇の位置が固定で、作業台と合わない
・収納がクローゼットのみで足りない
・LDKと兼用にすると生活感が映り込む

という問題がありました。
さらに、

「独立アトリエをつくると面積が足りない」
「LDK兼用にすると光が安定しない」

という“専用性と面積”のジレンマも存在していました。

兼用LDK+可動壁か、独立アトリエか──検討した選択肢は2つ

A:LDKの一角を“可動壁でアトリエ化”する
メリット:
・面積効率が良い
・普段は広いLDKとして使える
・コストを抑えられる

デメリット:
・光が安定しない
・生活感が映り込みやすい
・換気・シンクの追加が難しい

B:独立したアトリエをつくる
メリット:
・光・換気・収納を最適化できる
・作品づくりに集中しやすい
・現像や洗浄作業も安心

デメリット:
・面積を使う
・LDKがややコンパクトになる
・設備追加のコストがかかる

I様は当初「LDKの一角で十分」と考えていましたが、“光の安定性”と“換気の必要性”を考えると、独立アトリエが現実的という結論に近づきました。

マッチングコーディネータの視点!

アトリエづくりでは、ご本人にとって当たり前の作業や工程でも、工務店は知らないことがたくさんあります。「伝えなくても分かるだろう」という前提を置かず、どんな作業をどんな順番で行う場所なのかを共有することがとても大切です。

また、いま使っている制作スペースがある場合は、写真でも実際の現場でも構わないので“どこに困っているのか”を見てもらえると、工務店の理解が一気に深まります。

たとえば「午後になると光が使いにくい」「片付けに時間がかかる」「換気が弱くて作業を止めてしまう」など、日常の小さな不便こそ貴重なヒントです。こうした“リアルな制作の流れ”が伝わると、光・換気・収納の優先順位が明確になり、工務店もより的確な提案ができるようになります。

I様が選んだのは「北向き採光+トップライト拡散+独立アトリエ」

最終的にI様は、

・北側に大きなハイサイド窓を設置し、均質光を確保
・トップライトに拡散フィルムを入れ、影の出にくい光を実現
・アトリエ内にシンクを設置し、現像・洗浄を安全に
・換気扇を作業台の真上に配置し、溶剤使用時も安心
・作品収納は“平置き棚+引き出し+立て掛け収納”の三段構成

という計画を選ばれました。
これにより、

「光が安定し、撮影がしやすい」
「換気がしっかりしていて作業が安心」
「作品や道具が整理され、集中できる」

という理想の制作環境が実現しました。

“部屋”ではなく“制作工程”から逆算することが大事

アトリエの家づくりは、単に北窓をつけるだけでも、単に収納を増やすだけでも不十分です。

「どんな光で撮りたいのか」
「どんな作業を、どの順番で行うのか」
「どんな道具を、どれくらい使うのか」

これらを整理することで、作品づくりに没頭できる“理想のアトリエ”が実現します。光・換気・収納の3つを整えることで、制作の質が大きく向上します。