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部屋の上部の面を構成する天井は、小屋組みや床組みを隠すために張るものですが、設備が重視されてきた最近では断熱、防音、防虫、配管、配線、音響、照明効果などの性能や機能的な役割も担います。
天井の形状
陸(ろく)天井・平(ひら)天井
天井面を水平につくった天井のこと、最も一般的に用いられています。
傾斜天井・勾配天井
屋根の勾配に合わせて天井をつくるなどした傾斜のある天井。
折上げ天井
社寺建築などの広い空間に見られる、壁の上端より曲線で天井面を高くした天井。
腰折れ天井
天井の中央部分が水平で壁に向かって傾斜した天井。
舟底天井
緩やかな傾斜した天井で、船の底を逆さまにした形に似ていることから、この名前で呼ばれています。なお、舟底天井よりも勾配が強いものを屋形天井といいます。
掛込み天井
平天井と傾斜天井を小壁を付けて組み合わせた天井。茶室や和風の玄関などに用いられ、空間を主と従に区分する意図があります。
下り天井
天井の一部分がほかの部分より低くなっている天井。天井の高さを低く抑えた部分は落ち着いた空間となり、空間全体にメリハリが生まれます。
天井の仕上げ
網代天井
葦や杉、竹の薄板を斜めや縦横に編んだ網代を天井の下地板に取り付けた天井。
和室の床の間の天井などに使われます。
化粧屋根裏天井
天井を張らずに、梁や垂木などの小屋組を化粧材としてそのまま見せる天井。
和風建築の縁側や廊下、茶室などに使われます。
化粧床組天井
1階の天井に2階の床板や梁、根太をそのまま使う天井。
目透かし張り天井
天井の板をぴったりと合わせず、板と板の間に6~9mm程度の隙間を設けて張る天井。
格天井
2~2.5寸角の格縁と呼ばれる角材を講師に組んで、その間に正方形の板を張った天井。
広い和室や格式を重んじる部屋の天井に使われます。
竿縁(さおぶち)天井
天井の回り縁に竿縁(杉や桧の角材や竹、桜の丸太)という細長い横木を45cm内外で取り付けて板を張った天井。
茶室などに使われます。
天井の仕上げ材
壁や床の仕上げ材と同様に、天井の仕上げ材にも調湿、消臭、抗菌など、様々な機能を備えたものがあります。
クロス
下地の上に張るだけで表面を仕上げることができるので、施工がたやすい、工期が短い、コストも手ごろなため、一般の住宅では最もよく使われている内装材です。
最近では、汚れ防止、抗菌、消臭などの機能を備えたクロスや珪藻土や炭、コットンなどの原料を加えたクロスもあります。
素材によってビニールクロス、布クロス、紙クロスなどに大きく分かれます。
ビニールクロスは、ポリ塩化ビニールを素材としてつくられたクロスです。織物調や石目調、花柄やチェック柄など様々な色、柄に加工ができるので、商品の種類はたいへん豊富です。他の素材よりも施工性に優れ、安価な商品です。
紙クロスは、パルプ、再生紙、和紙などを原料としてつくられたクロスです。洋紙は、パルプを原料とし、紙の表面に色や柄をプリント加工したり、強い圧力で浮き出し模様をつけるエンボス加工された商品があります。その他、ケナフなどの非木材パルプを用いたクロスもあります。
布クロスは、綿や麻などの天然繊維、レーヨンやポリエステルなどの合成繊維を使い壁紙用に織り上げた商品です。ホテルの内装に使われているように、織物ならではの柔らかい質感や高級感のある厚み、なめらかな輝き、趣きのある空間を演出できます。
吸音効果、調温性、通気性に優れた性質を持っていますが、ビニールクロスよりも継ぎ目が目立ちやすいなど施工が難しく、価格も高い商品です。
木質系
板張りの天井で、材料は「無垢材」や「合板」が使われます。
無機質系
ロックウール板や繊維板など、板状に成型したパネルやボードです。
調湿や吸音などの機能を備えたものがあります。
漆喰
石灰石からできた消石灰(水酸化カルシウム)に砂と糊、スサを練り合わせた伝統的な塗り壁の仕上げ材料です。
漆喰は、吸放湿性、防火性、防音性、調湿性などに優れたすぐれた材料ですが、高度な左官技術が必要であるため、施工できる職人が減少しているのが現状です。
基本色は白色ですが、顔料を混ぜて着色した「色漆喰」もあり色のバリエーションを楽しむこともできます。
珪藻土
植物性のプランクトン(藻)の遺骸が化石化して出来た土です。
昔から火に強い土として七輪などの材料に使用されてきました。この土には、肉眼では見ることの出来ない無数の孔質(空気層)があり、断熱性、保温性、脱臭性、防火性などにも優れています。
プラスター
漆喰のような純白で滑らかな仕上がりが得られ、漆喰より安価な壁材です。
石膏を主材料とした石膏プラスターや石灰を使った石灰性プラスターがあり、石膏や石灰に砂、すさなどを水練りした壁材です。
乾燥にともなう収縮が少ないため、強度、耐久性には優れていますが耐水性には劣ります。