目次
窓は室内に光を取り入れるためや換気、通風のために設けられる開口部のことをいいます。
窓には、様々な開閉形式、取付け位置、サッシ、ガラスがあり、用途や部屋に合わせてこれらの組み合わせを選択します。
なお、窓のメンテナンスについては、「注文住宅のキホン/窓のメンテナンス」のページをご覧ください。
窓の種類と位置
部屋の内と外を一体にするために開口部を大きく取る場合の窓、プライバシーを確保するために開口部を小さくする窓、外観のデザインに配慮した窓などがあり、用途に合わせて選びます。
■窓の種類
●引違い窓
ガラス戸をスライドして開閉する窓。
どちらからでも開くことができる最も一般的な窓です。
開閉幅を調節しやすいですが、外側のガラス面が掃除しにくいデメリットがあります。
●横すべり出し窓
窓の横方向の上側を軸としてスライドし、下側を外に押し出して開閉する窓。
直角近くまで開くので外側の掃除が容易です。
不透明なガラスにすると室内を覗かれにくく、開放時に雨が直接室内に入りにくいメリットがありますが、風通しは縦すべり出し窓に比べると劣ります。
●縦すべり出し窓
窓の縦方向の片側を軸としてスライドし、回転するように開閉する窓。
直角近くまで開くので外側の掃除が容易です。
外の風を室内に取り込みやすいメリットがありますが、開放時に雨が降ると雨が降りこみやすいデメリットがあります。
●片開き窓
片側を固定し左右どちらか一方に開閉するガラス戸一枚の窓。
外開きと内開きがあり、開閉角度が調整でき、通風・採光に有効です。
引き違い窓に比べて気密性が高く、ストッパーを付ければ防犯性も高まります。
●両開き窓
左右2枚のガラス戸が開閉する窓。
引き違い窓に比べて気密性が高く、大きな開口が得られます。
●引き込み窓
引き戸を窓枠の片側の壁にスライドさせて開閉する窓。
窓を開けたとき、戸袋に窓を収納でき、開放時は窓枠しか見えなくなるので、すっきりとした印象になります。他の窓に比べて気密性が低いというデメリットがあります。
●突き出し窓
ガラス戸の上を軸に下部を外側に押し出すように開く窓。
開放時に雨が直接室内に入りにくく、不透明なガラスにすると、室内を覗かれにくいメリットがありますが、他の窓に比べて、風通しがあまりよくありません。
●内倒し窓
ガラス戸の下を軸に上側が室内側に倒して開く窓。
室外のスペースを気にせず設置でき、不透明なガラスにすると、室内を覗かれにくいメリットがありますが、開放時に雨が室内に入りやすいデメリットがあります。
●外倒し窓
ガラス戸の下を軸に上側が外側に倒して開く窓。
高所に取り付ける場合が多く、開放用の引手を引くとダンパーの働きで、ガラス戸が外側に倒れます。
外に向かって空気が流れやすいため、排煙や湿気をスムーズに外に逃がすことができ、不透明なガラスにすると、室内を覗かれにくいメリットがありますが、開放時に雨が室内に入りやすいデメリットがあります。
●ルーバー窓(ジャロジー窓)
数枚のガラスの細長い羽根板を組み合わせた窓。
ハンドルで連動して開閉させるため、通風や換気に優れ、目隠しにもなるのでトイレや浴室などに用いられます。防犯性が弱いため、外部に面格子などを取り付けた方がよいでしょう。
●オーニング窓
複数のガラスをハンドル操作で同時に動かし開閉する窓。
ガラス1枚ずつに窓枠があるため、気密性、防犯性がルーバー窓よりも優れています。
●ダブルハングの上げ下げ窓
ガラス戸を上下に動かして開閉する窓。
上部がフィックス窓で動かないタイプ、上下別々に動くタイプ、上下が連動して動くダブルハングタイプがあります。
開閉に場所を取らず、防犯性に優れているメリットがありますが、窓の開け閉めがしづらく、外側の面が掃除しにくいデメリットがあります。
●トップライト(天窓)
屋根につける窓。
小さな面積で効率よく光を取り入れることができ、採光量は壁に設置した窓の3倍です。
夏は暑くなりやすく、経年劣化で雨漏りする可能性があります。
ルーフウィンドゥともいいます。
●はめ殺し窓(フィックス窓)
窓枠にガラスが固定されて開閉ができない窓。
採光や眺望を目的として用います。円形などデザインや大きさはさまざまな種類があります。
換気ができないのがデメリットです。
●出窓
建物の外壁より外側に張り出した窓。
張り出した部分が台形になった台形出窓や弓形に張り出した出窓(ボウウインドゥ)、長方形や多角形(ベイウィンドウ)さまざまなデザインがあります。
室内が広く感じられ、張り出したスペースを様々な使い方ができますが、夏は熱がこもって暑くなりやすく、冬は結露が生じやすいデメリットがあります。
●折り戸
折れ戸(2枚以上の扉を蝶番で連結して、開いたときに折り畳む形になる戸)のような窓。
開口部を大きく開くことができるため、部屋の内と外を一体化させたい場合などに適しています。
●回転窓
戸の中央を軸にして回転する窓。
家の中から窓の外側を掃除でき、換気性に優れています。
外側に網戸を取り付けられないデメリットがあります。
■窓の取り付け位置
明るくて風通しの良い家にするためには、バランスよく窓を配置することが大切です。そして、取り付け位置で窓の呼び名が決まっています。
●掃き出し窓
開口部が床面の位置まである窓のこと。
掃除の際にほうきでホコリを掃き出せることからこの名で呼ばれています。
別名テラス窓ともいい、人の出入りが可能な背の高い窓なので庭などに面した場所に設けます。
開放感があり、採光や風通しに優れていますが、防犯性、断熱性、防音性が低いというデメリットがあります。
●腰窓
掃き出し窓に対し、床面から窓の下端の高さが80~90センチメートルに設けた窓をいいます。
●肘掛け窓
床面から窓の下端の高さが約36~45センチメートルに設けた窓をいいます。
座ったときちょうど肘(ひじ)を掛けられることからこの名で呼ばれ、視覚的にも落ち着ける高さです。
●天窓
天井や屋根に設けられた窓のこと、トップライト、ルーフウィンドウともいいます。
採光のために設けられる窓で、小さな面積で効率よく光を取り入れることが可能です。
●地窓
床面に接して設けられる窓のこと。和室に多く使われています。
室内の対角線方向に向き合う天窓や高窓と組み合わせると、自然換気に大きな効果があります。また、外から見られる心配が少ないこともメリットです。
●高窓
吹き抜けや高い天井近くの壁に設けられた明り取り用の窓をいい、ハイサイドライトともいいます。
低い位置の窓より採光量が多く、外部からの視線が届かないので、プライバシーを守ることができます。
高窓は高い場所に設置するため開閉ができませんでしたが、最近は開閉操作ができる窓も増えています。
●コーナー窓
部屋の角 (コーナー) に設けられる窓のこと。
部屋の一角がガラス張りになるので開放的で、採光量も上がります。しかし角がガラスになることから、耐震性能が下がるデメリットがあります。
●スリット窓
縦や横に細長い窓のこと。
室内の採光に向いていて、人が出入りできないサイズなので防犯性に優れています。
窓の性能
■サッシの種類
サッシとは、窓枠のことをいいます。
●用途別
木造の住宅用とRC造や鉄骨造などのビル用サッシに分けられます。
●材質別
アルミサッシ
一般的に使われているサッシです。軽く開け閉めが楽で、錆びにくく、腐食しにくいが、結露しやすく、断熱性にやや劣ります。
樹脂サッシ
塩化ビニル樹脂製のサッシのことです。先進国で普及が進んでおり、韓国では80%、欧米でも60%超の普及率ですが、日本ではまだ26%(北海道では約90%)です。(出典:樹脂サッシ工業会)
樹脂サッシで窓を高断熱化することで、冷暖房によるエネルギー消費量を大きく削減できます。
【メリット】
・熱伝導が低く断熱性・遮熱性に優れている
・防音・遮音効果が高い
・水密、気密性に優れている
・結露が発生しにくい
・デザインが豊富
【デメリット】
・紫外線に弱いため、アルミサッシに比べて劣化が早い
・複合サッシに比べ重い
・価格が高い
木製サッシ
気の質感、見た目の温かさに人気があります。結露に強いが、腐食しやすいのでメンテナンスが大切です。
複合サッシ
複数の素材の利点を活かした複合サッシで、アルミ樹脂サッシやアルミ木製サッシなどがあります。室内側が樹脂製や木製、屋外側がアルミ製になっています。
【メリット】
・屋外側がアルミ製のため耐久性や耐候性、防火性、防錆性に優れている
・アルミサッシに比べ断熱性が高い
・軽いので開け閉めが楽
・樹脂サッシに比べ価格が安い
【デメリット】
・樹脂サッシに比べ断熱性や防音性が低い
・樹脂サッシに比べ結露が発生しやすい
●仕様別
防音サッシ
遮音性能を高めたサッシです。屋外からの騒音を遮断したり、室内の音が屋外へ漏れないように防いだりすることができます。
断熱サッシ
断熱性能を高めたサッシです。熱移動を抑える機能を備えています。
■ガラスの種類
ガラスの種類には、目的と用途によって様々なものがあります。
●フロートガラス
一般的な透明ガラスです。
●フロストガラス(スリ板ガラス)
ガラスの表面を加工してスリ(曇り)ガラスにしたものです。
●型板ガラス
ガラスの片面に型模様をつけたもので、光を通して視線を遮ります。
●網入りガラス
ガラスに網状の金属を入れたもので、火災のときに炎の進入や燃え広がりを防ぐ効果があります。
●Low-Eガラス
ガラスの表面に特殊金属膜をコーティングしたもので、遮熱と断熱効果のあるガラスです。特殊金属膜を内壁側にコーティングし、室内から室外への暖房熱のロスを減らした断熱タイプと、外壁側にコーティングし、日射熱を軽減する遮熱タイプがあります。
●複層ガラス
2枚以上のガラスの間の中空層に空気やガスを密閉することで断熱性を高めたガラスです。結露しにくく、高い遮音性や防音性があります。
ペアガラス
2枚のガラスと1層の中空層でできている複層ガラスで、中空層に空気やアルゴンガス、クリプトンガスを封入したものです。
トリプルガラス
3枚のガラスと2層の中空層でできている複層ガラスで、中空層に空気やアルゴンガス、クリプトンガスを封入したものです。ペアガラスよりも空気層が多くなるため、高い断熱性能があります。ペアガラスに比べ、重く、厚みも2倍ほどになるので、窓枠やサッシ、ハンドルの選択が重要です。
真空ガラス
2枚のガラスの間の空気層を真空にして、断熱性能、防音性能をより高めたガラスです。
一般的な複層ガラスよりガラスの厚みが薄いので、1枚ガラスの窓枠にも装着が可能です。
高断熱複層ガラス
複層ガラスの室内側のガラスに特殊金属膜(Low-E膜)をコーティングしたものです。太陽熱を効率よく採り入れ、しかも暖房熱は室内側に反射させる機能をもつガラスです。
遮熱高断熱複層ガラス
複層ガラスの室外側のガラスに特殊金属膜(Low-E膜)をコーティングしたものです。日差しや紫外線をカットし、暖房熱は室内側に反射させる機能をもつガラスです。
●強化ガラス
同じ厚さのフロート板ガラスに比べて3~5倍の強度があり、割れても破片が粒状になるガラスです。
●合わせガラス
柔軟で強靭な樹脂中間膜を2枚のガラスの間に圧着して断熱や防音効果を高めたもので、紫外線をカットする機能もあります。
●耐熱ガラス
熱膨張率を下げて、急激な温度変化でも割れないよう強化したガラスです。キッチンのコンロ用前ガラスなどに採用されています。
●防犯ガラス
柔軟で強靭な樹脂中間膜を2枚のガラスの間に圧着して、ドライバーによる「こじ破り」、バール等による「打ち破り」に高い抵抗力を持ち、防犯性に優れたガラスです。紫外線をカットする機能もあります。