兵庫県神戸市 U邸

「すべてが廊下」の家

家を建てようと思った経緯は?

結婚してから約7年、2LDKの賃貸に住んでいました。
賃貸なので、どうしても住み方に様々な制約があり、妻の実家からも少し遠い場所だったため、自分達の家を持とうと思いました。

まず、マンションや建て売りから検討し始めたのですが、マンションではありきたりの間取りで立地条件も納得いかない。建て売り住宅は手抜き工事もあり得るし、その割には費用がかかる。

検討した結果、なんとかして自分達で家を建てようということになりました。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?

いいえ、色々な選択肢を持っていました。

大手ハウスメーカー、地元の注文住宅メーカー、関西一円で事業をされている注文住宅メーカー、それから建築家に依頼すること、これらを全部同じレベルで検討しました。

既に取得していた土地がいわゆる狭小地、かつ、道路面より1mほど下がった特異な地形で、その土地条件のせいか、始めに大手ハウスメーカーで提案されたラフプランは、余計なコストが多い割には、魅力のないものしか出来ないようでした。
次に残りの三者へ、ほぼ同時期にラフプランを依頼しました。

注文住宅メーカーはどちらもまあまあ、でも、もう一歩何か欲しいという感じる一方、緒方さんのプランは魅力的でワクワクする感じがあったのです。

結局、建築家に依頼した場合、こちらの要望にも土地の状況にも柔軟に対応していただけると考えて決めました。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

建築家・緒方幸樹さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?

明るくシンプルな家にしたい、収納もできるだけ沢山欲しい、といった大きな要望をお伝えし、また、自分達の好みを伝えるために、色々な雑誌で目に留まった家の写真を集めてお渡ししました。

実際にお会いしたり、メールで「ここをこう出来ないでしょうか?」などと具体的なやりとりをしたりして、打合せを重ねていきました。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

実際に生活していかがでしょうか?

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

3階のファミリールームからは北側に山が、南側にはほんのわずかですが海が見えます。朝は山の上の青空が深く綺麗で気持ちが良いです。北の空と南の空の違いがはっきりと見えるのが面白いですね。

コンセプトのひとつに「全てが廊下」というのがあります。
2階の北側にある防音室以外の部屋は、引き戸はあるものの間仕切りはありません。ですから1階から3階までつながった空間で、独特の雰囲気が良いです。最も、そのために冷暖房の効率が落ちるところはありますが。

3階にいわゆるダイニングリビングがあるので、当初、階段の上り下りの煩わしさを懸念していました。煩わしくないといっては嘘になりますが、スキップフロアのおかげで一つの階段の段数が通常の半分で、圧迫感が少なく上手く付き合っていけそうです。

ザ・ハウスを利用しての感想は?

安心感を持ちながら計画を進める事ができました。自分達だけでは建築家を選ぶことはもちろんできませんし、もし具体的にお願いしたい人が現れても、「この人に依頼したい!」と決断する事は出来なかったと思います。
選択肢の一つとして「建築家にお願いする」ということが挙げられたのも、ザ・ハウスのお陰だと思います。本当にありがとうございました。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

これから建築家と家を建てる方に一言

家づくりはパワーが必要です。建築家と家を建てるならより一層のパワーに加え、強い気持ちも必要です。それから時間もかかります。ただ、それに見合うものは十分に手に入れる事ができるでしょう。
また、コミュニケーションが非常に大事になります。がんばってください!

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

はじめにUさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?

第一印象はご夫婦共、物静かで知的で爽やかな印象を受けました。
また、打合せを進めていくところで、穏やかな中にしっかりとした意志も感じられました。

計画では敷地の物理的条件が、かなり厳しい状況であることを理解されており、計画、コスト、仕様、構造等、慎重に考えていらっしゃるのが感じられました。

また、提案を理解してもらった上で、ご自分達の好んでいる空間についても、きちっとお話して頂いた記憶があります。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?

強い要望として構造は「木造で」ということでしたが、敷地条件、法規、プラン性から総合的に判断して構造は鉄骨に傾いていきました。

最終的に判断する時、「鉄骨でも気持ちよく快適なものを創っていきましょう!」という提案で構造は鉄骨となり、構造体は見せずに出来るだけ木を感じられるような空間にしました。

計画では模型を何度となく作り、段差があり細長という敷地の特徴が、長所として生きるように平面計画、断面計画、そして光や風といった内部環境を考えました。

また、狭小地だからこそ行き止まり感の無いように、動線や室の配置、窓、仕上材をまとめました。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

Uさんとのお打合せはいかがでしたか?

狭小地に住まうことや、家の断熱について等の考え方が大きく食い違わないように、それらが書かれた同じ本を読んでその意見交換をしたり、打合せ後にメールのやりとりをしたりなど、話し合いを重ねながら計画を充実させていきました。

金額調整をする際には熱い思いのやり取りもありましたが、そんな時でも状況を理解しながらしっかりとした意志を示され、その気持ちに応えようとこちらも知恵を搾り出した結果、要望を満たして進めることが出来たように思います。

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

これから建築家と家を建てる方に一言

兵庫県神戸市 「すべてが廊下」の家

縁は不思議です。
優秀な建築家を見つけるのではなく、縁のある建築家と出会うことが大切かと思います。出会うために色々な建築家と話をして、飾らずに話が出来る人を見つけてください。

所在地
兵庫県神戸市
設計
緒方幸樹建築設計事務所
施工会社
(株)喜井工務店
竣工日
2004年12月
敷地面積
60.13平米(18.19坪)
延床面積
102.97平米(31.15坪)