東京都中野区 S邸

二世帯で明るく暮らす家

家を建てようと思った経緯は?

実家が築40年と古くなってきたことと、将来親の面倒を見ることもあるかも知れないということで、二世帯住宅を建てようと思いました。

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当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?

はい。ハウスメーカーですと多少のアレンジは可能なのでしょうが、それでも相手の提案する内容から選ぶということになり、自分の理想の家が建てられるとは思えませんでした。

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建築家・伊原孝則さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?

二世帯といえども完全分離型の二世帯住宅にして欲しいというのが、最優先の希望でした。
また、リビングには明るい陽射しが差し込み、必ずリビングを通ってから個室に入るようにして欲しいとお伝えしました。

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実際に生活していかがでしょうか?

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とても満足しています。
何よりリビングの天井が高く開放的で、また明かり窓によって日中は日が燦々と差し込むのでとても気に入っています。

ザ・ハウスを利用しての感想は?

建築家に依頼することのメリット・デメリットを詳しく教えて頂き、また色々と相談にも乗って頂いたのでとても心強かったです。

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これから建築家と家を建てる方に一言

依頼した(しようとしている)建築家の方が自分にとって信頼できる人か、自分はその人ときちんとコミュニケーションがとれるか、これがとても重要だと思います。
また、一度その人と決めたら、とことん信頼する努力も必要だと思います。

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はじめにSさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?

一緒の敷地に住むことになる二世帯のそれぞれの家族が、どのような家族観、生活感を持っているかを知りたいと思い、色々お話を伺いました。

最初の話し合いで大まかにではありますが、ご両親がとても開放的な生活をされていることと、S様と奥様は合理的でありながら柔軟な考え方を持っていることが分かりました。

また、すぐ近所にお兄さんが引っ越されてくる予定があったり、ご親戚も近くに住んでいたりなど、近くにいる親族の皆さんも含めた大らかな大家族の枠組みが感じられたことも印象に残っています。

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具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?

敷地は日当たりが良い南東の角地にあり、庭にはご両親が大事にされてきた大きな柿の木や椿・紅葉などの既存樹が何本かありました。
そこで既存樹をできる限り残すこと、完全分離型でありながら一つの家族としての繋がりを創出すること、閑静な住宅街の中で近隣へ威圧感を与えない配置・ボリュームとすること、の3つをテーマにしたプランを提案したのです。

そのプランの鍵となったのはご両親のオープンな生活感でした。ご両親にお伺いした処、既存の住宅では、暗い玄関からではなく、その隣庭に面した居間の掃き出し窓(縁側)から出入りしているということでした。
打ち合わせを重ねていく中で、玄関はなくても良いかもしれないという意見が出たことを受けて、あえて窮屈な玄関を設けるのを止めて、南側に開放された居間とキッチンから出入りするという、大胆なを提案したところ受け入れられました。
開放的にすることによって伴う問題、例えばセキュリティなどについても、一つ一つ話し合いながら解決していきました。
親世帯、子世帯の住戸の入り口は南側と北側に分離していますが、柿の木を通して上下階の世帯が繋がる関係となっています。また1階の北側にも解放できる大きな連続した扉を設けて、家と家族全体が一体となれるようにしています。
完全分離型であっても皆が集まる色々な場面では、世代を超えた大きな家族のような感じになることを目指しました。

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Sさんとのお打合せはいかがでしたか?

打ち合わせは毎回二世帯がご両親の既存住宅に集合し、我々も加わって総勢7~8人が家族会議をするように和やかに進められました。
具体的には各世帯に分離できる模型を毎回更新しながら、設計図書によって確認するという一番単純な方法です。

打ち合わせは2世帯分となるので、5~6時間に及ぶこともありましたが、打ち合わせが進むに従って、皆が同じ方向に向かって一つの気持ちとなっていくのを強く感じられて良かったですね。
時間はかかりますが、やはり対話による積み重ねが良い家を作るためには重要であることを再認識いたしました。

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これから建築家と家を建てる方に一言

「家」の考え方は、住まう人によってそれぞれ違います。10家族あれば10種類の違った住宅ができます。家族の関係、将来への希望、生活のこだわり、デザインの好みなどそれぞれです。

その家族独自の「家」を実現するためには、まずそこに住むことになる人々が、それぞれどんな理想をもっているかを知ること、そして家族としてそれをどう纏めていくのか、というプロセスが欠かせません。

そこでまず我々に様々な疑問や希望、考えを投げかけていただき、ご家族と我々で対話を重ねていくことのなかから、納得できる自分たちのための「家」を見つけだしてくことが大切だと考えます。

また我々は、住宅は完成してからそこで生活する人とともに成長し変化し続けるものだと考えています。
そのためにもご家族と我々と工務店が良い関係を構築し、それを継続していくことで、長い間住み続けられ、人生のステージともなる大切な家が守られていくものだと思います。

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所在地
東京都中野区
設計
flow一級建築士事務所
施工会社
(株)栄港建設
竣工日
2005年6月
敷地面積
212.17平米(64.18坪)
延床面積
171.49平米(51.88坪)
撮影
平剛風アトリエ