山梨県北杜市 T邸
開放と閉鎖のメリハリがある家
家を建てようと思った経緯は?
以前、セカンドハウス用に土地を取得していたことと、趣味で陶芸をしていまして、東京の家では灯油窯の工房を作るのは無理でしたので、スペースのある白州で工房を作りたいと思いました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
いいえ、最初は自分達で考えて出来るだろうと思っていましたが、やはり素人の域を脱せず、面白味に欠けるありきたりの図面になってしまいましたので、建築家にお願いしようということになりました。
建築家・大塚 聡さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?
シンプルで開放的な空間と、セカンドハウスですので少し遊び心のある家にしてほしいこと、一人でいる場合もありますので自室に開口部をあまり作らず、工房と行き来しやすくして欲しい旨をお願いしました。
その他には、
・しばらくは年間通じて週末に通い、最終的には永住できる住宅。
・東京の家に自分の個室を持っていない私の個室と、趣味の陶芸を存分に出来るスペース。
・主人と来客用の個室。
・ゆったりとしたリビングダイニングと、それに連なるテラス。
・作陶が始まると終日集中する私のコーナーと、その他のコーナーの間の空間的な距離。
を希望しました。
実際に生活していかがでしょうか?
2階のリビングからは冬の八ヶ岳が見えますし、春先は若葉と自然の中で生活している実感が伝わり、とても落ちついて暮らせます。
閉ざされた空間と開放的な空間とのメリハリがあり、設計をお願いしてとても良かったと満足しています。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
建築家をどのように捜そうかと考えておりました折に、ザ・ハウスのホームページを見てご相談しました。
こちらの考えにフィットしている建築家を紹介して下さり、大変助かりました。
これから建築家と家を建てる方に一言
自分達がどのように暮らしたいか、どんな家が好きか等を伝え、建築家としっかりコミュニケーションを取ることが大切かと思います。
はじめにTさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?
ご夫妻お二人とも美大出身でTさんはデザインの仕事、ご夫人も陶芸をされていて、建築の設計に対しても、とても理解のある方々だと感じました。
具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?
敷地が斜面なのでスキップフロアーにし、1階に2つの個室と浴室、中間階に夫人の個室と陶芸スペース、2階にリビングダイニングキッチンという構成にしました。そして1+2階のブロックと中間階のブロックを分けるように、トップライトのある玄関と階段をその間に設けました。
また、木々に囲まれた日照時間の短い敷地なので建物を南向きにしたいのですが、秋になり落葉すると北東方向のみに眺望が開けます。つまり、南向きにすると眺望に対してそっぽを向いてしまう配置になってしまいます。そこで、北東に正面を向けたまま建物の長辺が南に向くように外形を60度ひねり、平面図でみると平行四辺形にする事で両立させました。
それから当初は週末住宅なので、安全面と冬場の使いやすさを考慮して、オール電化にしています。
Tさんとのお打合せはいかがでしたか?
Tさんは建築に対するプライオリティがはっきりしていて、こちらの提案にも大変積極的な選択をしていただきました。納得のいく建築を設計する機会をいただいて、とても楽しい時間を過ごせました。
ただTさんの専門がデザインで、目地や金具が少しでも曲がっていると気になる、とおっしゃられたので緊張しました。
まあ、良い意味での緊張感でしたが。
これから建築家と家を建てる方に一言
理想の生活を想像するのではなく、自分達らしい生活を想像し僕達に投げかけてみて下さい。それを一緒に形にしていくのが「家を建てる」という事じゃないかな、と思います。
建物について
- 所在地
- 山梨県北杜市
- 設計
- (株)大塚聡アトリエ・一級建築士事務所
- 施工会社
- (株)有信建設
- 竣工日
- 2005年1月
- 敷地面積
- 800平米(242.00坪)
- 延床面積
- 148.41平米(44.89坪)
- 撮影
- 新 良太