神奈川県川崎市 W邸
採光と通風を確保した中庭が3つある家
家を建てようと思った経緯は?
以前、海外赴任を終えた際、慌ただしい中での家探しに苦労した経験がありました。同じような機会があるなら、家探しで苦労せずに「我が家」に帰ってきたいという思いを漠然と抱いていました。
また、帰国後に住み始めた周辺の環境が気に入り、再び海外赴任をすることになっても同じ地域に戻ってきたいという想いを持ち、賃貸生活をしながら近隣に売地が出るとチェックをしていました。そして、気になる土地を発見し家を建てることを決意しました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
既成の家に合わせるのではなく、自分たち家族に合わせた家にしたい、という想いがありました。そのため、建売ではなく建築家に設計してもらいたい、と漠然と想像していました。
ただ、現実的には予算などの制約があり頭を悩ませました。最終的には、土地は変形地を選んでコストセーブし「変形地+建築家=自分たち家族の家」という考えに至りました。
建築家・岡村泰之さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
あまり具体的で細かい希望は伝えなかったように思います。
解放感があること、風を感じられること、家族の気配を感じられること、といった全体的なことくらいです。そのうえで、建築家を信頼して変形地ならではの条件や制約をむしろ良い意味で活かしてもらいたい、と考えていました。きっと面白いアイデアが出てくると信じていたと思います。
その結果、L字型の各3点を中庭にするという設計をしていただきました。
実際に生活していかがでしょうか?
夏の朝、早起きしてリビングの窓を一つ一つ明け少しひんやりとした風が抜けていく瞬間、中庭のベンチでコーヒーを飲み庭木の様子を観察する時間、中庭に面した窓を開けてゆっくりと浴槽でくつろぐ時間、3階のベランダから娘と望遠鏡で月を観察する時間など、どれもささやかですが幸せを感じることができます。
射し込んでくる光が時の移ろいとともに変化していく様、風が抜けていく心地よさ、図面や模型では実感としてはわからなかった部分ですが、岡村さんの頭の中ではきっと具現化できていたのだと思います。 この土地ならではの特徴を活かした空間設計は本当に見事です。それに加えて、住んで感じるのは「結局何が大事なのか」そのことにとても意識的であるということです。 岡村さんは対話を通じて、何が大事で最後まで妥協しないか何をそぎ落としても特に問題ないか、を明確に見極めていたように感じます。
振り返ってみて思うことは、当初家づくりは、あれもあったらいいなこれも欲しいな、という足し算のプロセスと思っていました。実際には、本当に大事なもの、譲れないものを丁寧に削り出していくような引き算のプロセスだというのがよくわかりました。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
家を建てる経験は多くの人にとって初めてのことですし、知らないことばかり。建築家というと少し敷居が高く気後れしてしまいます。けれど、ザ・ハウスのスタッフの皆さんの優しい対応にとても助けられました。家づくりが好き、ザ・ハウスの仕事を楽しんでいる、という感じがスタッフの皆さんから伝わってきて、そのことで自分もリラックスできたのを覚えています。そして、岡村さんとの出会いを導いてくれたことには本当に感謝しています。このマッチング精度の高さには感服です。
これから建築家と家を建てる方に一言
家づくりは対話を通して進んでいくので、建築家と信頼関係を築けるかはとても大事だと思います。岡村さんにお任せすることを決めた背景には、事前に著書やブログなどを読ませていただき、共感をもてたことがあります。そうした情報を探して自分と相性が良さそうかなど考えてみるのも良いかと思います。
家づくりはいつか終わりますが、家には住み続けるという、少し長いレンジで生活を想像してみることは大事かと思います。
私たちの場合、念願の我が家の完成を間近にして、再びの海外赴任決定というまさかの展開に。
我が家で生活を始めるまでおよそ4年。 帰国と時を同じくして、コロナ禍となり、私はテレワーク子供たちはオンライン授業、と夢想していた生活とは違いワークスペースを取り合うことになるとは…。大きくなった子供たちがみな外出せずに家にいるような状況で、子供たちが小さい頃に「家族の気配が感じられること」というささやかな希望を伝えましたが、今ではもう少し気配を消してほしい、なんて思ったり(笑)。
今の状態がずっと続くわけではなく、場合によっては大きく変わることもあり得ること。家には長く住むことになるので、家づくりの際にはこの点は意識した方が良いと思います。
私は、ザ・ハウスを通じて岡村さんと出会い家づくりを一緒に進められたこと、そして今、素晴らしい家で生活していることを本当に幸せに感じますし、振り返ってみるとちょっとした奇跡のようですらあります。当初の私と同様、建築家ってちょっと敷居が高いしなぁと思っている方、まずはそんなに気張らずに軽い気持ちでザ・ハウスを訪問してみてはどうでしょうか。