東京都武蔵野市 S邸
暮らしに馴染む設え
家を建てようと思った経緯は?
子供の頃から建築に興味があり、いつか自宅を建てたいと思っていました。
現在の生活環境では転勤になる可能性が低く、家族構成にも変更がない状況でしたし、また40歳を目前にして住宅ローンを組むなら今という考えもあり、家を建てる決断をしました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
建築家に依頼する以外の選択肢は一切考えませんでした。
10年ほど前に、使われていなかった実家の一部に住むため、ハウスメーカーに依頼してリフォームをした経験があったのですが、内装の仕上げから設備まで、既製品を選んで組み立てるやり方に違和感を覚えました。以前から建築に興味があったということもありますが、この経験が「建てるなら建築家で!」という思いをより強くしました。
建築家・八島正年・夕子さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
要望書を作成し、八島さんに手渡しました。私たちの思い描いている漠然とした雰囲気を伝えるため、過去に八島さんが設計した建築の中で、特に気に入っている雰囲気の写真をネットや雑誌で探し出し、これらを要望書に載せました。
基本的な部分では、RC造を希望すると伝えました。コンクリートの質感が好きというのもありますが、隣家火災の被害にあった経験があり、精神的な安らぎを得るためにも火災に強い家を希望しました。
細かい間取りなどには触れませんでしたが、あちこちに居場所があると良い、丸いダイニングテーブルを置きたい、浴室から庭が見たい、洗濯物は外に干したい、たくさんある洋服と食器を収納したいといった希望を出しました。
2匹の猫と暮らしていますので、猫の動線、猫トイレ、脱走防止策などについても考えを伝えました。
実際に生活していかがでしょうか?
我が家は2階にリビングが配置されたコートハウスなのですが、明るく風通しが良くて快適です。コートハウスというと近隣に対して閉鎖的な印象を持っていたのですが、リビングには道側に開いた大きな出窓もあり、プライバシーは守られつつ開放的で、朝から晩まで落ち着いた時間を過ごすことができます。
また、仕上げに用いられた素材が心地良いです。八島さんは多くの素材を扱わず、これまでの経験から厳選した素材を適材適所に配置する方だと思います。設計時にはあまり気にしていなかったのですが、建具、カウンター、造作家具などにはナラやブラックチェリーの無垢材が用いられ、見た目はもちろん、肌触りが良く経年変化も楽しめそうです。
それからサイズ感が抜群に良いと感じています。我が家は小さな家ですが、各スペースは「広過ぎず狭過ぎず」の丁度良いサイズ感と間合いで構成され、キッチンや洗面などの水回りも、必要な動作がしやすい寸法であり、生活しやすいです。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
登録されている建築家が厳選されており、著名な方から若手の方まで素晴らしい建築家ばかりです。私たちは、ザ・ハウスに伺う際に、自分たちで何名かの候補を挙げていました。その建築家の方々とは、ザ・ハウスを通じて面会することができ、設計された家にも見学に伺いました。
さらにザ・ハウスの担当の方からは「その建築家がお好きなら、この建築家も気に入るのでは?」という具合に提案もしていただきました。とても的を射たご提案で驚きましたし、その観察力に感心しました。
家づくりには大きなお金が動きますし、初めて経験することの連続です。このような状況の中、第三者の立場で見守ってくれるザ・ハウスという存在はとても頼もしかったです。
これから建築家と家を建てる方に一言
家づくりのパートナーである建築家を信頼しつつ、行き違いが生じないようにコミュニケーションを密にとることが大切だと思います。
我が家の場合、最初の提案であるファーストプランからほぼ変更がない設計となりました。ファーストプランの提案を受けてから色々と話し合い、疑問点などは率直にぶつけ、変更案も出していただきましたが、結局のところファーストプランに立ち戻りました。恐らく、建築家にとってファーストプランは、考えに考え抜いたベストの提案であり、私たちはこの提案を信じて本当に良かったと思っています。
それから、最近感じていることですが、仕上げ材や水回りを中心とした設備等を選ぶ際に、それを可愛く思えるかという観点でみると良い気がします。私たちは、水回りを中心とした設備の他、フローリング材や金物まで、夫婦でショールームを訪問して吟味し、本当に気に入ったものだけを採用しました。当然のことながら、生活をしていれば掃除や手入れが必要になるわけですが、本当に気に入っているものであればキレイに保ちたいですし、手入れも苦にならなくなります。