神奈川県茅ヶ崎市 S邸
空との接点をもつ家
家を建てようと思った経緯は?
子供が生まれたことで、家族のこれからの生活をそれまで以上に考えるようになりました。
賃貸では「とりあえずの居場所」という感覚がどうしても抜けなかったので、自分たちの手で育てていけるような家を持ちたいと思うようになりました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
はじめは中古マンションのリノベーションを考えていました。中古物件を探すのと同時に、建売住宅やハウスメーカーのモデルルームも見始めましたが、思うような物件に巡り合うことができませんでした。確かにモデルルームは設備も良く、豪華にできているのですが、私たちの求めているものとは違うと感じました。
色々と調べていく中で、建築家の方との家づくりも、決して敷居の高いものばかりではないことが分かってきました。そして、せっかく家を建てるのだったらつくる過程も存分に楽しみたいと思い、建築家の方に依頼することに決めました。
建築家・都留さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
都留さんとのやりとりの中で印象に残っているのは、設計に入る前に、好きな映画や本、印象に残っているものについて聞かれたことです。何LDK必要か、リビングはどのくらいの広さが欲しいか、といったことではなく、自分たちのことをよく知ってもらった上でできていく我が家に、とてもワクワクしたことを覚えています。
確かはじめにお話したのは、「いい窓のある家」、「本1冊で何時間でも過ごせる気持ちのいい空間」というようなことでした。契約前に見せていただいた都留さんのご自邸と近作の空間がとても気に入っていたので、都留さんの良さを存分に発揮してくださいとお願いしました。
実際に生活していかがでしょうか?
周りを家に囲まれた旗竿地という悪条件の土地なのに、驚くほど明るく、気持ちのいい空間です。このような難しい土地だったからこそ、建築家の方に頼んで本当に良かったと思います。建売住宅やハウスメーカーの提示するプランでは、絶対にこのような空間にはならなかったでしょう。
住み始めて少し経ったある日、夜中なのにハイサイドの窓から光が差し込んでいることに気付きました。見上げると、ちょうど窓の位置に満月があり、月明かりが部屋を照らしていました。
2歳半の娘は朝に目が覚めると、ベッドの中から朝日に照らされた壁を見て、「赤と青になってるよ。きれいだね」と話します。このような環境で子どもが育っていくのがとても楽しみです。
都留さんとは家ができ上がるまで事細かに打合せを重ねましたが、その中には私たち素人には想像できない点もありました。でも実際に住み始めてみて、「都留さんが言っていたのは、こういうことだったのか!」とその意味に納得がいくことがたくさんありました。やはり思い切って、信じて任せることの大事さを感じています。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
建築家が手掛けた家というと、普通の人にはなかなか縁遠いものだと思います。私たちも同じで、どうやって依頼するのか、費用はどのくらいかかるのかなど、分からないことだらけでした。
そんな状態でザ・ハウスさんを訪ねましたが、建築家との家づくりについて一から教えて下さいました。ウェブサイトや作品からは分からない人柄などについても教えて下さったことで、安心してお願いすることができたと感じています。
これから建築家と家を建てる方に一言
こだわればこだわるほど決めることや悩むことが増えますし、それにつれて大変さも増してきます。そういった面もありますが、一つ一つのことをきちんと決めていったという実感があり、私たちは住み始めてすぐに「自分の家」という愛着を持つことができました。
ちょっとした迷いや疑問も正直にぶつけることができる信頼関係と、どうしても迷って決められない時は、思い切って建築家に任せてみる、その度胸がいい家の完成へと繋がっていくのではないかと思います。
建物について
- 所在地
- 神奈川県茅ヶ崎市
- 設計
- 都留理子建築設計スタジオ
- 施工会社
- 大同工業株式会社
- 竣工日
- 2015年11月
- 敷地面積
- 114.61平米(34.67坪)
- 延床面積
- 90.33平米(27.32坪)
- 撮影
- 淺川 敏