今回の築48年となる木造賃貸住宅のリノベーション計画では、コストや品質の面はもちろんですが、立地が駅前の木造密集地であること、１階に入居者が居住したままの２階部分のみの工事であること、解体してみなければ分からない構造や設備の不明な部分を多く抱えたままの着工であることなど、工事規模の割に諸問題が多々ありました。

この様な地域における工事の経験と細やかな配慮が出来る工務店であることが重要でしたので、ザ・ハウスという客観的な立場からの紹介が相応しいであろうと考え、施主からお話を頂いた当初から、工務店選びにはこの工務店紹介サービスを利用しようと考えていました。ザ・ハウスにこちらの要望や施主の事情をお伝えすると早速、今回の工務店さんを紹介して頂き、現場調査と見積りをお願いしました。

現場調査で初めて明らかになった問題点などもあり、当初提出いただいた見積りでは予算を超えてしまうものでした。ですが、非常に詳細かつ明朗な見積書でしたので、変更に対する施主との打合せもスムーズに運ぶことができました。

見積調整後の最終金額はほぼ予算内に収まり、施主も納得のいく結果になりました。設計者としても「相談しながら」の対応が十分可能であると判断し、今回の工務店に工事を依頼することとなりました。

現場調査をした上での見積内容は、設計時に不明であった項目も非常に的確に記載されていて、その点からも大きな信頼を感じ取れました。

社長さんをはじめ、現場管理をしてくださったスタッフの方々、それぞれの方が非常にきめ細かく、かつ積極的な対応をしてくださり、とにかく大小さまざまな問題があったこの計画では、非常に助けられました。

また施工に関しても「雑ではなく、きれい過ぎない仕上がり」という設計側の無理なお願いに対して職人さん達にも共に相談に乗って頂け、こちらの意図通りに仕上げて頂けました。工期について玉置さんの読みは的確で、施主側で考えていた賃貸募集の時期に対して十分な余裕をもって、お引き渡しする事ができました。

また各工種の職人同士が非常に仲良く、チームとしてこの家をつくっているという感じを受けました。5.5ヶ月という長い施工期間でしたからよいことばかりではありませんでしたが、概ね満足するものでした。

築年数を考慮すると建て替えも視野に入る木造賃貸アパートではありますが、今回リフォームした部屋の凄まじい痛み具合や、他の入居者の立ち退きの問題、私が若い頃に建てたこの建物自体への思い入れもあり、どうしたらよいか思い倦ねていました。そこへ「誰にどのように住んでもらうか、そのためのリフォーム工事をどの工務店に依頼するのか」を設計くるるさんに提案して頂きました。ユニットバスの位置や、柱や梁などの見せ方など素人には思いつかない事でしたが、実際、工務店さんの丁寧な工事で納得のいく自然素材を上手に使った綺麗な部屋に仕上がり、引渡し直後に入居が決まるなど、様々なことがスムーズに運んでいきました。

この建物がもう一息、頑張って働いてもらえるのは大変にうれしいことです。